「『エコ・チャレンジ』基準改定学習会」を開催しました
5月18日、パルシステム生活協同組合連合会 産直事業本部 第一産直部部長の佐藤哲郎氏を講師に招いた「『エコ・チャレンジ』基準改定学習会」をオンラインで開催し、組合員・役職員45名が参加しました。
パルシステム独自の栽培基準「エコ・チャレンジ」
「エコ・チャレンジ」とは、パルシステム独自の栽培基準で、化学合成農薬、化学肥料を各都道府県で定められた、慣行栽培基準の1/2以下に削減することに加えて、パルシステムの削減目標農薬の不使用を原則としています。
単なる農薬削減にとどまらず、持続可能な生産方法や環境に配慮した取り組みを推進し、環境保全型農業を国内で広げることを目的としているこの基準について、今回の学習会では、これまでの歴史や基準改定されるまでの経緯、改定内容等について、講師の佐藤氏から説明がありました。

講師の佐藤氏(右)と司会の当組合理事(左)

オンライン学習会の様子
歴史
栽培基準について、1990年代初頭から基準作りの議論が始まり、1998年に「農薬削減プログラム」として、農薬・化学肥料をできるだけ使用しない、とくに毒性の強いものを使用せず、総量削減をすすめるため、栽培実験・技術交流・消費者による理解などが定められました。
2002年に「エコ・チャレンジ」が誕生し、独自の栽培ブランドとしてカタログでの表示を開始し、優先排除・問題農薬の設定除草剤不使用(水田除く)、土壌くん蒸剤不使用が定められました。
2014年には、基準として明確化し、削減目標農薬の設定(環境評価の客観化)、特別栽培基準の導入(総量削減の指標)が定められ、青果においては、除草剤、土壌くん蒸剤不使用を基準とし、5年に1度の見直しを行うことが明記されました。
基準改定の議論
2019年は、大幅な改定はありませんでしたが、2024年から、気候変動や社会情勢の激変に適応し、次の世代へ農業を繋ぐため、2年間かけて改定が議論されました。
2024年度には、エコ基準の見直し検討委員会を設置。生産者、会員生協の組合員理事、パルシスム職員で、産地等に聞き取りもしながら議論を重ねました。
2025年度には、多くの組合員、生産者で議論を重ね、除草剤使用の是非についても、議論を重ねました。
とくに畑や果樹園での除草剤の使用については、温暖化で雑草の成長速度が加速し、連日の酷暑下で「命の危険」を感じるほどの過酷な労働環境や、農業従事者の急減による人員確保が困難な問題、獣害対策の電気柵周辺の草刈り作業負担の増大など、生産者の営農意欲を著しく削ぐ要因となって離農を加速させており、「これまでの除草剤完全不使用の基準では、生産継続が限界に達している」との生産者の切実な訴えもありました。
一方で、「除草剤を使ってほしくない」消費者の思いと、「農法を大きく変えたくない」「環境保全型農業を次世代に繋ぎたい」という生産者の葛藤の末の最適解を模索するべく、検討委員会で検討や専門家による「雑草学」などの学習を行い、除草剤使用については「特別栽培基準の範囲内での除草剤使用を許容する方針へ」へと結論が出されました。

学習会の資料
基準改定後の栽培について
パルシステム神奈川では、「消費者の立場としては除草剤の使用を全面的に受け入れるとはならないと思うが、お互いに環境や状況を理解し合うことで妥協点を見つけることが必要だと思います」「除草剤を使用しない産地への対応について、カタログでも特別扱いをしないとありますが、新しい組合員は産地の理念など知りません。産地紹介で詳しく載せていただきたいと思います」などの意見もあり、無農薬に近い高度な栽培等については、「産地限定企画」などを通じてその価値を評価・広報していくことが回答として報告されました。
また、グリホサート(除草剤成分)については、削減目標農薬に追加し、除草剤を許容しつつも、社会的懸念の強い成分は原則不使用とし安全を担保。種子消毒(購入種子)はカウント対象外とし、県別基準の不公正さや有機との整合性の整理を行うことなどの説明もあり、佐藤氏は「生産者と消費者がともに歩む持続可能な環境保全型農業の未来に向けた前向きな決断として、これからも食べて選んで、環境保全型農業と生産者を支える取り組みをともにすすめていきましょう」と学習会を締めくくりました。
参加者からは、
・猛暑、高齢化で手作業の除草が大変になっていて、環境保全型農業や持続可能な農業のために生産者、消費者がともに対話し、知恵を出し合うことの大切さを感じました。
・基準改定の過程について知ることができて、勉強になりました。
・ていねいに協議して決めている過程に安心しました。
などの感想がありました。
生産者と消費者の対話の先に2026年2月に確定した「エコ・チャレンジ」基準で栽培された作物は、2026年10月からお届けが正式にスタートします。
