便利つゆ

化学調味料を使わず、だしのうまみを生かした希釈タイプのつゆ。だしは国産のかつお節、さば節、昆布を、家庭で行うのと同じような手法でていねいにとりました。そうめんや煮物のほか、炒め物などにも使える、便利な万能調味料です。

『便利つゆ』について詳しく知ろう！

【今回お話をうかがった方】（2025年6月時点）

株式会社にんべん河合さん
株式会社にんべんフーズ杉山さん
ちば醤油株式会社宮崎さん

化学調味料不使用のつゆが欲しいとの声を受けて開発

◆1986年に登場した本品。その開発経緯は

河合　市場では化学調味料を使った味付けがおいしいと喜ばれ、当たり前に使われている時代でした。そんななか「化学調味料に頼らないつゆが欲しい」との組合員の声を受け、本品（当時の商品名は『せいきょうのつゆ』）の開発に着手しました。製造メーカーには当社の商品の製造をお願いしている「ちば醤油」に協力いただきました。

◆当時の反響はどうでしたか

河合　化学調味料はうまみ成分を精製した食品添加物。うまみが強いため、何を作っても同じ味になりがちです。とくに味覚が育つ幼児期にこの味に慣れてしまうと、素材の繊細な味を感じにくくなることも。本品は素材本来のおいしさを生かしたいという思いもあり、化学調味料不使用にしました。しかし、その一方で塩かどが立ってしまい、組合員からは「しょっぱく感じる」と発売後10年ほどは低評価でした。そこで、だし素材の組み合わせを変えたり、塩分値を変更して味のバランスを調整するなど、組合員の反応をみながら配合を変えて味の見直しを重ねました。また、時代の流れとともに消費者の味の嗜好が変化し、化学調味料不使用が受け入れられるようになりました。
2005年には「より便利に、どんな料理にも使ってもらえるように」との思いから商品名を『便利つゆ』に変更。それまでは麺類に使われることが多かったようですが、商品名を変更したことで、たくさんの方にさまざまな料理で利用してもらえるようになりました。本品は、家庭でアレンジしやすいすっきりした味に仕上げています。だしの風味が生きて食材の味が引き立つので、組合員からは「飽きのこない味」と高評価をいただいています。

だし素材の持ち味を引き出す製法

◆製法のこだわりは

河合　化学調味料を使わず、しっかりとしたうまみを出すためには「だし」が重要なポイントになります。市販のつゆ類は、魚の節を粉末にして使用したり、密閉したタンクでだし抽出を行うなど、効率を重視した作り方をしているものもあります。本品は、国内でかつおとさばを1本ずつさばいて作り上げた節を削り加工し、だしをとります。昆布は水につけておいてから加熱し、沸騰する直前に引き上げます。このように、家庭で行うのと同じような手順でとっただしは、うまみだけではなく香りもふくよかです。このだしにしょうゆや砂糖などを合わせ、どんな料理にも合う「便利」なつゆに仕上げています。

かつお節とさば節の削り節を籠（かご）に入れて煮出します　

だしとしょうゆなどの調味原料を合わせます

◆味わい以外でのこだわりは

杉山　約30年前に、洗って繰り返し使える「リユースびん」を採用しました。パルシステムのリユースびんの取り組みは、環境への配慮と持続可能な社会の実現をめざす具体的な行動です。組合員がリユースびんの商品を利用し返却をすることで、資源循環の促進とCO2排出量の削減につながります。

宮崎　びんの再洗浄や欠けの確認など手間はかかりますが、新しいびんに作り替えるリサイクルよりも、リユースの方が環境への負荷が小さく済みます。