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オンライン講演会「がんになっても自分の力で歩んでいけるように」を開催しました

2月9日、認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事の鈴木美穂氏を講師に迎え、オンライン講演会「がんになっても自分の力で歩んでいけるように」を開催し、75名が参加しました。

24歳でがんに罹患して

学生時代から元気そのもので病気とは縁のなかった鈴木氏は、子どもの頃からの夢だった報道記者・キャスターとして活躍して3年目の24歳で乳がんと診断されました。講演会では、仕事仲間が撮影したビデオなどを交え、どのような思いで、どのような課題を感じ、行動してきたかをうかがいました。

講演中の鈴木美穂氏

鈴木氏が罹患した当時は、テレビでもがん罹患者にモザイクをかける時代。さらに若い世代のがん罹患者の情報はほとんどなかったそうです。突然の診断から手術、治療を通し、絶望や孤独など、さまざまな思いとたたかいながら治療し、そのなかで次第に「同じように苦しい思いをしている人に何かできないか、できることがあったらやりたい」との思いをもつようになったと鈴木氏は話しました。

職場復帰後は、全国を駆け回る報道の仕事に加え、自身の経験を生かした企画など、精力的に取り組んできましたが、ピンポイントで必要な人に届けたいとの思いから、がんになり孤独に思っている若い世代に、顔出し実名で届けるフリーペーパー、若年性がん患者団体「STAND UP!!」を発足。

その後、欲しかった場、足りないと感じた場を作るために奔走し、がん患者や家族が無料で訪れ相談できる場「マギーズ東京」をオープンしました。「マギーズ東京」は、がんになった人や家族、がんの影響を受けるすべての人が気軽に訪れ、友人に話すように安心して相談し、くつろぎ、自分の力を戻せる場です。2022年末までに約4万人が訪れているそうです。

多くのリアクショが送られる講演

マギーズ東京の写真(ホームページから)

自分だけと思っているのはひとりではない

質疑には、がんに罹患された友人を思う方、手術を終えたばかりの方、治療中の方、診断を待っている方などから、多くの質問や感想、リアクションが届きました。

最後に鈴木氏は「なぜ自分だけ」と自身も思ったことを伝え、「私も作ってきた場で出会った仲間に救われてきました。味方はたくさんいます。自分だけではない、ひとりではない、孤独ではないと今日の講演を聞いて思ってもらえたらうれしいです。もしがんの影響を受けて孤独でいらしたら、マギーズ東京を訪ねてほしいと思います。誰かのことが心配になっている方、ご遺族の方も含めてアクセスしてください」と語りかけました。

明るく元気な鈴木氏の笑顔に、「気持ちが救われ、前向きになれた」「自分の生き方の参考にさせていただきたい」など、希望をもってがんばりたいとの声が多く寄せられた講演会でした。

参加者の声から(抜粋)

  • 現在手術を終え抗がん剤治療前なのですが、小さい子どものことを考えると涙が出たり、ほかのママと違う見た目になってしまうことの子どもの心の負担などが心配でした。心が苦しい今の私がマギーズ東京に行きたいと思いました。ガンを告知され、自分を責めてばかりでしたが、パルシステムの講座紹介で鈴木さんのことを知り、鈴木さんはもっと若くしてこの絶望を味わったのか…同じ病気というだけで親近感が湧き、勇気が湧きました。 来週から抗がん剤治療に入る私には、本当に大切な時間となりました。 本当にありがとうございました。
  • 私自身は闘病歴が浅く今まだ霧の中をさまよっているところですが、がんばって治療を続ければ霧が晴れると希望をもつことができました。この講演を聞くことができてとてもよかったです。
  • 15年前に乳がんの告知をされ、31歳だった私は患者会に行っても同じ世代の仲間に出会えず、うまく胸の内を明かせず、孤独を感じていました。マギーズのような場所があったらどんなに心強かっただろうと思います。再発を経験し、ガンに対する不安は消せずにいます。機会を作りぜひマギーズ東京に行ってみようと思います。
  • 私はガンとは宣告されていませんが、再来週婦人科での手術を控えており、勇気がいただけました。 すてきな居場所をご紹介いただけましたので、お世話になることがあるかもしれません。また友人や家族にも紹介できることがうれしいです。
  • 鈴木さんの実行力に脱帽です。私のようなおばあさんがメソメソしているのは恥ずかしいですね。来週から抗がん剤治療が始まります。その前に勇気をいただけて感謝です。ありがとうございました。
  • 自分の経験をお話しいただき、元気な姿を見せていただき励みになります。同じ立場の方たちを思い、マギーズ東京を立ち上げてくださり感謝でいっぱいです。いつか足を運びたいと思います。
  • 仕事でがん経験者の方のお話を知っておく必要があると思い参加しました。告知や治療は、私の想像以上に過酷な状況であったこと、それでも自分が今できることを常に考え行動されてきた鈴木さんの姿に大変心を打たれました。今後を生きていくうえでも非常に意味のある会となりました。ありがとうございました。
  • 乳がん告知をされたとき、マギーに行きました。本も買いました。美穂さんが希望をくれました。ありがとう。

   

◇本講演会はパルシステム共済連『福祉・たすけあい助成金』を使用して開催しています。