パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

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「宮城県JA新みやぎで田植え体験」を開催しました

5月24日~25日の2日間にわたり、宮城県の米産地JA新みやぎにて「JA新みやぎで田植え体験」を開催し、組合員23名が参加しました。

JA新みやぎ「みどりの地区」は宮城県大崎市、涌谷町、美里町を管内とし、パルシステムで取り扱っている『エコ・宮城ひとめぼれ』『宮城まなむすめ』『エコ・宮城つや姫』などのお米の産地です。当組合とは年4回の産地での交流会のほかに、消費地神奈川で開催する料理交流会や商品展示会(パルゆめつなごう展)への参加なども行っており、交流を始めてから今年で28年目を迎えました。

2025年度最初の交流となった今回は、田植え体験、生きもの観察、地域の見学をとおして、化学合成農薬・化学肥料を極力減らし環境に配慮した農業に取り組んでいる産地や、世界農業遺産について理解を深める交流を行いました。

「ササニシキ」の田んぼで体験

1日目は、宮城県大崎市にあるJA新みやぎ鹿島台地域の生産者、鈴木さん(パルシステム米栽培研究会会長)の「ササニシキ」の田んぼで生きもの観察と田植えを体験しました。
まずは、田植えに使う苗の積み込み体験を行うところからスタート。苗がずっしり詰まった育苗箱(お米の種を植えて、田植えができる大きさになるまで育てる箱のこと)をいくつも持ち上げるのは、生産者の方にとっても大変な作業です。参加者からも「重たくて持ち上がらない!」という声がありましたが、生産者の方と協力して積み込んでいきます。

立派に育ったお米の苗をリレー方式で運び出していきます

最後はトラックの荷台へ

苗をトラックに積み込んだら、いよいよ田んぼに向かいます!

田んぼに移動したあとは、大崎市職員の鈴木さんに解説していただきながら田んぼの生きもの観察を行いました。網を片手に用水路や田んぼの中で生きものを探し、ガムシやアマガエル、ヒメモノアラガイなど、さまざまな生きものを見つけることができました。
「稲が育つために役に立つ生きものはなんですか?」という質問に対して、「エラミミズは雑草の種を土の中に埋め込んでくれるし、クモやトンボの仲間は害虫を食べてくれる」と教えていただきました。田んぼにすまう生きものの大切さを知ることができ、持続可能な環境保全型農業を続けている産地ならではの豊かな生態系を体験する機会となりました。

鈴木さんの話に耳を傾ける参加者

あまりのおいしさに、みんなが「おかわり!」

おやつに産地の方に作っていただいた「ササニシキ」のおにぎりと、きゅうりの一本漬け、タケノコの煮物をいただいたあとは、代かき(田植えをする前に土をやわらかくする作業)を行うトラクターや、田植え機の乗車体験を行いました。
大きな機械がエンジン音を響かせながら田んぼを進む様子に、参加者は目を輝かせていました。

トラクターの乗車体験!

広大な田んぼの中を田植え機に乗って進んでいきます

今回乗車体験をした田植え機は、一気に8列の苗が植えられる機械でした。実際に操作した参加者からは、「まっすぐ植えるのがむずかしい!」との声が。お手本で生産者が田植え機を使うと、田んぼには苗が一本の直線のように並びます。熟練の技を目の当たりにする瞬間でした。
手植えでは、苗の植え方を教わり、やわらかい土の中での作業に試行錯誤しながら、生産者やJA新みやぎの職員と協力して苗の手植えを行いました。田植え機を扱ったあとに手植えをすると、より一層お米を作ることの大変さを身に染みて実感し、生産者への感謝がさらに増す田植え体験となりました。

大きな稲に育ちますように!

一面に広がる田んぼを背に、みんなで記念写真!

居久根(いぐね)の見学

JA新みやぎ管内を含む大崎耕土は、「持続可能な水田農業を支える伝統的水管理システム」などが認められ、2017年に世界農業遺産に認定されました。水田のもつ豊かな湿地生態系や農文化を知るために、2日目は農家のくらしを支えてきた屋敷林、「居久根(いぐね)」を見学しました。
居久根を維持・管理するのは大変な労力が必要となるため、現代では木を切ってしまう家も増えているそうです。今もなお居久根を有し、庭の北側に風から屋根や家を守るために大きな木がたくさん植えられている居宅には、くるみ・柿・キウイなどの木や、わらび・ふき・たけのこなどもたくさん植えられていました。大崎市職員の三宅さんに居久根についてのお話をうかがいながら実際に植物や木の実を採取し、代々受け継がれてきた居久根が織りなす豊かな自然や、昔からの生活の知恵を感じることができました。

何世代にもわたって守られてきた農家のくらしを学んだあとは、宮城県の伝統的な食文化「しそ巻き」作りに挑戦しました。

空に向かって伸びる屋敷林

くるみ入りの甘じょっぱいみそを、しそで包んでいきます

その後、生産者やJA新みやぎの職員と机を囲みながら、地元の野菜をふんだんに使用した昼食をいただき、2日間にわたる交流は終了しました。

   

参加者の感想

  • 田植え体験、生産者さんとの交流、とっても楽しませていただきました。居久根(いぐね)も厳しい環境に打ち勝つ先人の知恵と、引き継がれている方々のご苦労や豊かさを感じられました。楽しいだけではなくいろいろと考えさせられるツアーで、得るものが多かったです。
  • 大変な状況のなか、変わらず受け入れていただきありがとうございました。雨がちゃんと降り、夏が暑すぎず、豊かな実りの秋を迎えられるよう、日々お祈りしています。
  • ていねいに育てて、安定供給にも尽力いただき、ありがとうございます。忙しい時期にもかかわらず、交流や経験のお時間をいただき、感謝しています。本当にありがとうございます。
  • たった2日間ですが、子どもも私も宮城県が大好きになり、また行きたいと思いました。言い尽くせませんがありがとうございました。
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    6月には生きもの観察と草取り、10月には収穫体験を開催予定です。お楽しみに!