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オンラインイベント「若者が見たCOP27 現地のリアル」を開催しました

1月21日、昨年11月開催のCOP27(気候変動枠組条約第27回締約国会議、)について、開催地エジプトを訪れた若者から現地の様子や感じたことなどを聞くオンラインイベントに46名が参加しました。
前半は報道では見ることのできないアクションの様子や自らの心境の変化などを、動画を交えながらお話しいただき、後半の組合員とのトークセッションではざっくばらんな雰囲気のなかで質問に答えていただきました。

講師はZ世代の環境アクティビスト

講師の黒部睦さんは大学3年生、山本大貴さんは大学1年生。ともに、渋谷に100機の気候時計=Climate Clockを設置するというクラウドファウンディングを成功させたプロジェクトのメンバーです。昨年6月には当組合の新横浜本部に、神奈川では第1号機となるClimate Clockを設置しに来てくださいました。

講師の黒部睦さん(左)と山本大貴さん(右)

「COP」とはそもそもどのような会議?

COPは、地球温暖化対策のため世界全体で何をすべきか話し合う国際会議、27回目となるCOP27は昨年11月にエジプト湾岸のリゾート地であるシャルム・エル・シェイクで開催されました。197の国が参加し、大臣や首相、関係省庁、各国のパビリオンに出展している企業関係者、報道関係者、NGO(非政府組織)や市民などが全世界から集まりました。

COP27で何がおこなわれていたのか

イベントの前半では、COP27の概要と成果、現地で行われたアクション、印象に残ったことや心境の変化などをお話ししていただきました。
ニュースでも報道されていましたが、経済先進国が気候変動による「損失と損害」を補償として年間1,000億米ドルを提供するという約束を果たすため、基金を設立することに初めて合意しました。しかしながら具体的な内容はCOP28に先送りとなり、全ての化石燃料からの脱却は合意に至りませんでした。
そして会場近くでは、NGOやアクティビストたちがいろいろなアクションを行っていました。たとえば「化石賞」。気候変動対策に対して足を引っ張った国に与える不名誉な賞なのですが、これは「自分の国の遅れを自覚してもらう」ためのアクションで、今回の初日には日本が受賞しました。このことは日本でも報道され、現地での受賞式も大変盛り上がるイベントですが、じつは毎日さまざまな国がさまざまな理由で化石賞を受賞しているそうです。
また、本会議場を貸し切って行われたPeople’s Plenary(市民の本会議)では、先住民族やユース(若者)の代表などによるスピーチリレーが行われ、気候危機と人権問題が当たり前に結びついていることを実感したことなどを、動画を交えながら臨場感たっぷりにお話ししてくださいました。

日本が化石賞を受賞

People’s Plenary(市民の本会議)

自らの「加害性」と向き合うこと、「連帯」していくこと

今回、黒部さんと山本さんは、山本さんが仲間と立ち上げたCOP27を記録するプロジェクトのために現地を訪れたのですが、これまで取材される側だったおふたりにとって、取材する立場となったことで自らのアクティビストとしてのアイデンティティが揺らいだといいます。これまでは気候変動の影響を多く受ける世代として活動をしてきましたが、日本は経済先進国として多くの温室効果ガスを排出している国であり、いまだ化石賞を受賞するような国。先進国に住む自らの「加害性」を見つめることは苦しいけれど、現地で出会った他国のアクティビストたちに「あなたたちには変える力があるから変えていってほしい」という言葉を受け止めて、これからも声を上げていきたいと語ってくれました。
また、日本で声を上げていると、その声が本当に届いているのか心細くなっていくこともあったそうですが、現地で他国のアクティビストとの交流やアクションを通じて、「声は届いている」と実感したそうです。エジプト滞在中何度も聞いて何度も口にした「連帯(solidarity)」という言葉から、みんなでいっしょに取り組んでいるという安心感を得たという黒部さんと山本さん。参加者にも「『連帯』して気候危機をいっしょに解決していきましょう」と呼びかけてくださいました。

黒部さんと山本さんに聞いてみよう!

イベント後半では組合員も交えての意見交換と質疑応答を行いました。「取材は英語でしたか? どのように準備したのですか?」「メンバー同士でケンカもしたとのことですが、どのようなことでぶつかったのですか?」など、なごやかな雰囲気のなか、視聴者からの質問と合わせてお答えいただきました。
取材のために英語で綿密に準備をしても大変だったこと、ぶつかれるメンバーだったからこそのケンカだったこと、プラカードの持ち込みが禁止されるなど、かなり制限されたなか、服装などで工夫しながらのアクションだったことなど、なかなか濃い2週間を過ごされたことが伝わってきました。
意見交換のなかで、「平和」と「環境(気候危機)」はともに「人権問題」とつながっているということ、そして「平和」で「(安定した)環境」がなければ「食料の保障」はないという気づきがありました。気候危機を自分ごととしてとらえるきっかけとなるようなイベントとなりました。

なごやかなトークセッション

このイベントのダイジェスト動画は、当組合公式YouTube パル★ゆめちゃんねるに<前編><後編>として掲載しています。ぜひご覧ください。
<前編>講演「若者から見たCOP27のリアル」はこちら
https://youtu.be/IfQYZE_gHIs
<後編>意見貢献・質疑応答 はこちら
https://youtu.be/ezVUOGPGzyM

参加者の声

  • おふたりが希望をもって活動されている様子や心意気を聞いて、非常に励まされました。COP27の現地の様子も動画をまじえて教えていただき、大変勉強になりました。
  • 気候危機の本質は、人権問題なんだということにも気づくことができて、単なる報告会ではなく、みんがが考えることができる会になって、とてもよかったと思います。
  • 活動していると心細くなる・・・そんな気持ちが少しでも減るように連帯の仲間を広げられるよう自分のできることを諦めずに取り組んでいきたいです。