ニューステーマ:イベントレポート
9月6日、横浜市中区の横浜市技能文化会館にて生活コラムニストのももせ いづみ氏を講師に迎え、くらしの見直し講演会を開催し、51名が参加しました。捨てずに減らすくらしのアイデアやアップサイクルの発想に参加者は引き込まれ、熱心に聞き入りました。
今回の講師、ももせいづみ氏は、自身の体験をもとに、現代の忙しい人たちに向けたくらしと家事のアイデアや生き方のアドバイスを発信し、幅広い世代から支持を集めている生活コラムニストです。
経済的な豊かさを背景に、物にあふれた生活を送っている現在の日本。「世界の一般家庭に比べて日本の家庭には物があふれていますね。物を減らすには、捨てることがいちばん早いと、いわゆる“断捨離”などがブームで、世の中には片付けの本があふれています。でも、物を捨てると捨てた分だけごみが出ます。日本人1日1人当たり約1kgものごみを出しているんですよ。日本はごみの大量排出国なんです」と、ももせ氏は世界と日本の家庭から出る物やごみについて、スライドを見せながら解説します。
ももせ氏のわかりやすいお話に、参加者は共感しました
「物を捨てるとスペースができ、そこにまた物を埋めたくなる。“買う”⇒“捨てる”を繰り返すとごみが増え続けることになります。物を減らすこととごみを減らすことを同時に考えないとエコにはなりませんよね。そのためには収納スペースを小さくし、ゴミ箱も小さくして新たな物のスペースをなくすことが必要なんです。また、必要以上に大量に物を買わない、不要なものを人にあげるなどして物を循環させるといった知恵も大切ですね」と、ももせ氏は具体例をあげながらユーモアたっぷりに解説しました。
ももせ氏は、ごみになるものを資源として再利用(リサイクル)することについても触れ、「アップサイクル」(※)という新しい価値をもつ再生の考え方について解説しました。本来なら捨ててしまうものを生かして、資源として楽しみながら活用することを、自身が作製したアクセサリーなどを紹介しながら説明しました。
※アップサイクル:持続可能なものづくりの新たな方法論のひとつで、従来から行われてきたリサイクルとは異なり、単なる素材の原料化、その再利用ではなく、もとの製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すこと。(現代美術用語辞典より)
講演終了後、参加者は実際にアクセサリーなどを手にとってももせ氏に質問するなど、アップサイクルに大いに興味がわいたようです。
「アップサイクル」したアクセサリーを紹介
参加者は「アップサイクル」の作品に興味津々
世界に比べて日本人(とくに女性)の家事にかける時間の多さに触れたももせ氏は、家事時間を減らすことがエコにつながると述べました。
ももせ氏は、世界の平均家事時間を比較し、「日本人はまじめで衛生的な人が多く、一生懸命家事をするんですね。それはとても良いことですが、たとえば、洗濯1回に何Lの水を使うのか、調理や食器洗いのたびに出る排水はどこにいくのか、といったことも考えてみませんか」と、自宅で使っているキッチンの水まわり道具を例にあげながら、家事の効率化や環境への配慮につながる実践方法を紹介しました。
楽しい「ゆる家事テスト」の様子
最後に、「ゆる家事テスト」という愉快なチェックを参加者全員で行ったあと、ももせ氏は「家事道具を工夫して水資源などの無駄遣いをなくしつつ、もう少しゆるゆると、ほどよい加減で家事を楽しんでみることも大切ですね」と締めくくり、講演会は終了しました。
参加者からは、
「くらしの見直し講演会」は、LPA(ライフプラン・アドバイザー)が主催して行っています。家計の見直しのためには、くらし方全般の見直しも視野に入れると効果的で楽しくなります。今回の講演は、まさに、楽しみながら家計の支出だけでなく、ごみも家事労働も減らすためのヒントが満載のお話でした。
LPAでは、今後もわたしたちのくらしのお金に関する疑問や不安に対し、生活者の視点から教え学び合う活動を続けます。
【現在募集中のLPAの企画】
※今回の「くらしの見直し講演会」は、日本コープ共済生活協同組合連合会の助成金、およびパルシステム共済生活協同組合連合会の「たすけあい活動助成金」を使って運営されました。