• 魚介

しめさば(国内産)

寒サバのうまみを生かし、酸味を抑えたまろやか仕上げ酢じめというより、刺し身のようなみずみずしさ

「酢締めは酸っぱすぎて、ちょっと苦手」「青魚の生ぐささが気になって…」と、今までしめさばを敬遠してきた方 にこそおすすめしたいのが、この『しめさば(国内産)』です。ツンとくるような酸味が少なく、子 どもにも食べやすい味。しかも、さっぱり風味のなかに、素材本来のうまみがしっかり。従来のしめさばとはひと味違う、そのおいしさのルーツは、房総半島の漁師町にありました。

『しめさば(国内産)』について詳しく知ろう!

【今回お話をうかがった方】(2011年3月時点)
千葉県漁業協同組合連合会 長田智さん
      同      宮地直一さん
房州ちくら漁業協同組合 渡辺和夫さん
パルシステム連合会 水産課 秋山貴彦職員

千倉ならではの漁師料理「刺し身のようなしめさば」

 『しめさば(国内産)』の製造元は、房州ちくら漁業協同組合(※1)。房総半島の南端に位置する千葉県南房総市千倉町にある、組合員数 1900名の漁協です。同漁協における現在の主な漁業は、あわび、さざえ、伊勢エビなどを獲る磯根漁業=あま(海女・海士)漁と、 あじ、さばなどの青魚を中心とする定置網。20〜 30年前は、船で沖に出る漁船漁業が盛んでしたが、資源の枯渇などによって減船が続 き、10年前には最後の大型さば船もとうとう姿を消しました。

 そこで、同漁協が取り組んだのは、かつて水揚げ量を誇ったさばを原料に、千倉ならではの付加価値を付けて製品化する水産加工業でした。加工品は、90%以上がし めさばです。同漁協では、水揚げ基地から加工基地へ移行するとともに、冷凍や流通に至るまで事業を拡大。こうした取り組みは、地 域を活性化するとともに、地元の雇用促進にも役立っています。

 加工基地への移行の背景には、千倉ならではの食文化や加工技術がありました。「水揚げの最盛期、 漁師は獲れたてのさばを塩と酢で軽く締め、表面が少し白くなっただけのほとんど生状態で食べていました。それが千倉のしめさばで す」(渡辺さん)

 (※1)房州ちくら漁業協同組合は、2011年、鴨川市の天津小湊漁協と南房総市の和田町、白浜町の各漁協と合併し、東安房漁業協同組合(組合員数約5000名)となっています。

絶妙の配合バランスの調味液 りんご酢を加えてまろやかに

 この「刺し身感覚で食べるしめさばを、千倉以外でも」と、パルシステムから製品化の依頼があったのは2002年ころ。地元に加 工のノウハウはあったものの、「子どもからお年寄りまで、誰でも食べられる味にするのがむずかしかった」(渡辺さん)と、調味液の 配合バランスや漬け時間などに試行錯誤すること約1年。「新しい食感と食味のしめさばをめざし、まろやかさを出しました。それに いちばん効果があったのが、りんご酢です」(長田さん)。調味液にりんご酢を加えることで、酸味を 抑え、ほんのり甘くまろやかな仕上がりに。しかも、化学調味料や保存料はいっさい使わず、調味液の原料はすべて非遺伝子組換えの ものを使用しています。

 当初、同漁協のNB(ナショナルブランド)品として販売が始まったこのしめさばは、「刺し身のようにみずみずしい」「酢がきつすぎず、 さっぱりとして食べやすい」と組合員から大人気。原料を国産に限定し、同漁協の千田加工場で加工するというトレースもきちんと取 れるところが評価され、調味液の配合などはそのままに、2007年6月から『しめさば(国内産)』の名称でパルシステムのPB商品になりました。

 ※PB商品…独自開発商品

脂ののった寒サバを原料に加工はすべて手作業で

 『しめさば(国内産)』の原料は、三陸沖・銚子沖で10〜 12月に漁獲される脂ののった真サバ。いわゆる寒サバです。漁では真サバとゴ マサバが混じって網にかかりますが、使用するのは、味のよい真サバに限定しています。

 「しめさばの場合、原料の身質、脂質、鮮度で8割がた味が決まるので、仕入れには気をつかっています。原料には受け入れ基準を設 けたうえで、ロットごとにサンプルをパルシステムの水産課に送り、味の確認をしてOKをいただいたものしか仕入れません」(長田さ ん)。千葉県漁業協同組合連合会では、三陸から銚子までの水揚げ港ごとに冷凍工場と提携。水揚げされたさばの鮮度を損なわないよ う、できるだけ早く凍結して保管する各港の工場から、『しめさば(国内産)』に加工する分だけを、そのつど千倉に運んでいます。

 加工場では、三枚おろしから、中骨抜き、酢漬け、皮むきといったしめさばの製造工程を、38名の“浜の母さんたち”がすべて手作業 で行っています。「加工場を見学された組合員のなかには、『手作業で、ここまでていねいに骨を抜いているとは知らなかった』と感激 される方もいらっしゃいます」(渡辺さん)

 「一般的なしめさばの工場では、三枚おろしを機械で行います。ここでもフィレマシンをもっているのに、手作業でていねいにやって おられるんですよ」(秋山職員)。その理由は、「すべて手作業ですることで、鮮度やキズなどを目で確認できます。しかも、機械だと可食 部分までカットしてしまいますが、手切りだと無駄がありませんから」(長田さん)

 加工場の従業員は、ほとんどが60歳以上の女性たち。熟練した技術はこの加工場で教わったもので はなく、幼少のころから家庭で身に付けたとのこと。そのため、技術の継承がむずかしく、「後継者の育成というところが、次の課題 のひとつだと思っています」(長田さん)

2月から新物が登場好評の2枚180gでお届け

 「全部手作業で行っていることを、ご存じない組合員の方もいらっしゃいます。千倉の海を思い浮かべ、そのこともわかって食べていただければ、よりおいしくなると思います」(宮地さん)。「原料を確保する方やつくり手の方の、おいしいものをお届けしたいという熱 い思いから生まれたしめさばです。原料も加工もきちんとトレースでき、酸っぱさを抑えながらおいしく仕上げた、非常にバランスのよ い商品。利用しやすい価格も魅力です」(秋山職員)

 「家庭に届いたら、早めに食べていただくほうが、酢が入りすぎなくておいしいですよ」(渡辺さん)。刺し身のようにそのままわさび醤 油で食べるほか、さばずしや手巻きずしの具、酢の物などにするのもおすすめです。

 今シーズンは、2枚180g サイズを年間供給できる見込みの原料250tを確保しています。

 この新物のお届けは、2011年2月1回に始まったばかり。まだ食べたことのない方も、これを機会にぜひ一度お試しください。(※2)
(※2)2015年の新物のお届けは、2枚220g、2015年4月3回に始まりました。

『しめさば(国内産)』ができるまで

千倉の海が眼前に広がる、房州ちくら漁業協同組合の千田加工場。ここで手がける水産加工品の90%以上 は、パルシステムの商品。

  1. step01

    原料解凍

    3℃のチルド室で約16時間解凍する。

  2. step02

    3℃のチルド室で約16時間解凍する。

    さばの身質をチェックしながら、使い慣れた自分の包丁で、1尾ずつさばく。

  3. step03

    水洗い・水切り、塩水漬け

    塩が入りすぎたり、ムラになったりしないよう、じか塩ではなく塩水に漬ける。

  4. step04

    中骨抜き

    毛抜きのようなもので、1本1本、ていねいに骨を抜いていく。1枚のフィレから除去する骨は、太めのものだけで17〜 18本。

  5. step05

    塩水漬け

    空気にさらさないよう、もう一度、塩水に漬ける。

  6. step06

    水洗い・水切り、酢漬け

    りんご酢を加えた、漁協オリジナルの調味液に漬ける。漬け込みも手作業。酢漬けの時間は15〜 16時間で、さばの身質によっ て調整する。

  7. step07

    酢切り・皮むき

    食感よく仕上げるために、手作業で薄い皮をむく。

  8. step08

    選別・軽量・真空包装

  9. step09

    凍結、チェック・箱詰め

    製品化まで3日かかります。

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『しめさば(国内産)』

※本ページは2011年3月公開し、2015年11月一部更新しました。
 商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。