「心の障がいを理解し共生社会を考えませんか」を開催しました
10月2日、「心の障がいを理解し共生社会を考えませんか」を開催し、新横浜本部での対面とオンライン参加者合わせて73名が参加しました。
講師には、こころほっとコミュニケーション代表、また認定NPO法人スペシャルオリンピックス日本 神奈川で事務局長を務めている山ノ内尊雄氏をお迎えしました。
講演会では、障がいの種類や特徴、「障がいのある方」とかかわるうえでの誤解や思い込みなどによる「心の作用」について学びました。また山ノ内氏が携わる、知的障がいのある人たちにスポーツをとおして社会参加を応援しているスペシャルオリンピックス(SO)の紹介と共生社会に向けたメッセージをいただきました。


講師の山ノ内尊雄氏(右)と当組合の本多理事(左)
「障がい」とは
まず始めに、山ノ内氏から「障がい」にはどのようなものがあるか、またどのようなものかを、私たちの生活で感じる不便さをとおしてわかりやすくお話しいただきました。
「障がい」は“環境”と調和できるかできないか がポイントで、“環境”とは「社会」「人とのかかわり」です。「障がいのある方」とかかわるには、彼らの「生活のしづらさ」を知らなくてはなりません。生活のしづらさ(個性・特性)はそれぞれ違います。ただ、みんなと同じことは多く、「ほめられればうれしい」「嫌なことをされると悲しい」。これらのことは大なり小なり誰にでもある、、、つまり私たちは「みんな障がい者」。そして、「障がい者」にとっても私たちにとってもともに生活していくうえでとても大切なことは、「自分らしさを理解され認められる」こと。「自分らしさ」とは、それぞれの「個性」であり「特性」で「違いを理解し認める」ことが大切だとお話しいただきました。


「心の作用」を知る
誰にも「それぞれ違い」があり、その違いを「理解し」「受け容れ」「認められる」ことのできる世の中は理想であり望ましい世界です。けれど私たちには、主観的な「決め付け」や「思い込み」「誤解」や「偏見」「区別」や「差別」をしてしまう「心の作用」があることを知らなくてはなりません。
私たちは「思い込み」や「決め付け」で「相手をわかったつもり」になっているのでは…と山ノ内氏は参加者のみなさんに問いかけました。人間の脳は自分に都合よく物事を認識してしまい、公平な評価ができないことも多いと、事例やイラストをとおして教えていただきました。
「認める」「受け容れる」むずかしさ
また、私たちは自分と他者を「区別」し「差別」し「排除」したがる心の作用も持っています。違いを知り、分けることが種族保存のために必要だとDNAに刻まれており、その「心の作用」はなくすことはできません。 ただ、自分の持っている「心の作用」を確認することで「思い込み」や「決め付け」「区別」や「差別」をしてしまう気持ちにブレーキをかけることができる。 自分の考えと違う相手を前にしたときに「なぜ、そういうこと(行動)をするのか」と相手を知ろうとする気持ちを伝えることが相手にとって「認められ感」につながります。そして相手を理解することが次の対処や行動につながると言います。 山ノ内氏は「認める」「受け容れる」の練習をしてくださいと参加者に伝えました。またそのテクニックも具体的に教えていただきました。


スペシャルオリンピックスとは
終盤には、山ノ内氏が事務局長を務めるスペシャルオリンピックス(SO)を紹介していただきました。スペシャルオリンピックス(SO)とは、スポーツをしたくても、する機会が少ない知的障がいのある人たちに、スポーツをする機会を提供したいという目的の世界的な組織です。
スポーツ技術や体力向上のためだけではなく、挑戦する勇気や喜び、楽しみ、家族や仲間との分かち合い、またボランティア(一般の方)の障がい理解などもミッションとしてあります。動画も視聴しながら理解を深めました。

共生社会に向けて
最後に山ノ内氏は共生社会に向けて「私たちは一人ひとりがみんな違った考え方、個性や特性を持った存在です。しかし、私たちはついつい『思い込み』や『決め付け』によって『誤解』をしたり『偏見』をしてしまう『心の作用』を持っていることを知ってください。相手をわかったと思ったときから誤解が始まります。共生社会、バリアフリーとはお互いの違いを認めたうえで相手を尊重する世界です」とメッセージを送りました。
そして「自分がストレスを抱えていると自分にも他者にもやさしくできません。自分に合う迷惑のかからないストレス解消法を試してください」と締めくくりました。
参加者アンケートから抜粋
- 頭では理解していることでも、あらためて聞かせていただくと、自分の中に差別や偏見がたくさんあることを自覚します。ほかの考え方は? と踏みとどまる姿勢を忘れないようにしたいと思いました。
- とてもよかったです。むずかしい話になるのかと想像していましたが、山ノ内さんの気さくなお人柄、わかりやすい言葉でお話しくださり理解が深まりました。今後の人とのかかわり方に活かしていきたいです。
- 障がいがあるないと決めつけ、その思い込みは消えないとのこと、本当にそのとおりだと思いました。共生共存の社会、相手を認めること、想像力を働かせるなど、新たな発見がありました。本日の講演会ありがとうございました。