「起立性調節障害を知っていますか」を開催しました
9月4日、オンラインにて、講演会「起立性調節障害を知っていますか」を開催し、役職員含め158名が参加しました。講師には小児科医で、起立性調節障害外来を長年担当されてきた泉井医師をお迎えしました。
「保護者の方にとって、起立性調節障害や不登校、朝起きられない症状は、いつ治るのかわからず、先が見えない不安で大変な状況かと思います。診察をしていると、困っている患者さんがとても多いという印象です。ですが今回は、起立性調節障害は怖い病気ではないのだと、希望を感じていただけるような講演になることを願って準備しました」と泉井医師は語り、温かい共感とともに講演が始まりました。
起立性調節障害の基礎知識~病気を正しく理解する
泉井医師は、起立性調節障害の症状や、からだがどのような状態になっているのか、診断方法など、図やイラストを交えながらていねいに説明されました。自分で調べてみる方法や、朝起き不良と睡眠の関係など、大変興味深い内容でした。
また、発症の原因に応じて、泉井医師が取り入れている治療法も紹介していただきました。整理され、視覚的にわかりやすく示された解説は、どれも専門知識がない人にもわかりやすく、すっと理解できるものでした。

明るく誠実なお人柄が印象的な泉井先生
泉井先生の、心に寄り添うアドバイス
後半は、悩んでいる子どもや保護者に向け、捉え方や接し方などのアドバイスがありました。
ご自身も不登校を経験されたことのある泉井医師。そのときどのように感じ、どのように過ごし、どのように回復していったのかを率直に語られました。その内容は、理解しているつもりでも、見落としていることがあると気づかされるものでした。
さらに、ご自身の経験と、さらに多くの患者さんと向き合ってきた泉井医師だからこそ伝えられる「子どもの思い」と、サポートする保護者に向けた「前向きな数々の言葉」に、参加者からは「涙で画面が見えません」というメッセージも届きました。
質疑応答では、当事者である子ども自身や、保護者などから、多くの質問が寄せられ、一つひとつていねいにお答えいただきました。

わかりやすい資料で解説していただきました

たくさんの質問が寄せられました
最後に泉井医師は、「病気を正しく理解し、サポートがあれば子どもたちは必ず前に進んでいけます。この病気はゆっくりではありますが治る病気です。起立性調節障害だから夢をあきらめるのではなく、夢をもつことがいちばんの治療と考えています。子どもたちの歩みを信じて支えていきましょう」と締めくくられました。
今回の講演会では、病気に対する正しい理解を深めるとともに、参加者の不安に寄り添い、相手の気持ちを考え誠実に語りかける泉井先生の姿から、安心と前に進む勇気を受け取ることができた講演会となりました。
アンケートから抜粋
- 今抱えている苦悩が、いつか明るいものに変わっていけると希望がもてる内容で、大変興味深かったです。家庭はもちろん学校の先生方にも知っていただけるとよいと思いました。不登校や自殺の原因のひとつではと思いますし、知ることで、救われる命があると思います。すばらしい講演をありがとうございました!
- 起立性調節障害と診断されて、いろいろなことをあきらめかけていました。お話聞けて本当によかったです。親子ともにあきらめるのをやめようと思います。
- 実際に体験され苦しんだ方が、こんなにすてきなおとなになっているというのを目の当たりにすることができて、とても素直な気持ちで聴き続けることができました。
- 感動でした。先生のお人柄と熱意が伝わってくる温かさを感じる講演で、思わず涙が出てしまうほどでした。実体験からのお話は刺さりました。限られた時間のなかで、科学的な知見と哲学人生観の両面から、詳しい具体的なお話がうかがえ、勉強になりました。
- 発症5年目になる子どもがおりますが、知らないこともあり大変勉強になりました。ご自身の体験を踏まえての講義で、未来に希望がもてる内容でした。大変貴重なお話をありがとうございました。
- 子どもが登校できない日が続き、小児科医、学校の先生等いろいろな方に相談しましたが、これといった解決法がみつからず。からだや今後を不安視していたところで、専門の先生の貴重なお話を聞く機会をいただけ、本当にありがたく、勇気づけられました。
- 大変参考になりました。子どもの症状をみていると将来に不安を感じてしまうこともありますが、先生が夢を諦めないでがんばってほしいと話され希望がもてました。前向きな言葉をかけて子どもをサポートしたいです。
◇本講演会はパルシステム共済連『福祉・たすけあい助成金』を使用して開催しています。