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「マンション住民の防災講座」を開催しました

2月16日、NPO法人かながわ311ネットワークの石田真実氏と伊藤朋子氏を講師に迎え、オンライン講演会「マンション住民の防災講座」を開催し、126名が参加しました。

各地で大きな自然災害が起きている日本。私たちがくらす神奈川も、30年以内に大地震が起こるといわれ、また近年では大きな水害に見舞われるなど、災害への備えは必須となっています。
今回の講座では、これまでの防災講座ではあまり取り上げられることがなかった「マンション住民の防災」の基本の考え方から、知っておきたい防災知識について学びました。

避難所想定人数から外れているマンション住民

「マンションの住民は、在宅避難が前提です。避難所は、家に住めない人が一時的に生活を送る場所です。避難所には想定人数があり、マンションは突然壊れることはないという想定です」と石田氏。行政の想定と、アンケートによる住民の意識の違いなども紹介し、「一部の人を除き、多くの人は建物がある場合が多いので、在宅避難という形をとれるようにしておいてほしいと思います」と話しました。
続いて、家の中で震度6強の揺れはどの程度の揺れで、家具はどのような動きをするのかを映像で確認。「耐震性の高いマンションだからと安心するのではなく、家具の転倒防止やガラス飛散防止などの対策に努めてほしい」と呼びかけました。

テンポよく説明をする講師の石田氏

二次被害を防ぐ「トイレなど水は流せない」

過去の災害事例から、エレベーターの閉じ込め事故や、受水槽の破損など、具体的な共有部トラブルを見ていきました。
「大きな地震が起きたら、しばらく水も出せないですし、流すこともできません。排水管や下水管の安全が確認できるまで、トイレ、お風呂の水などは流してはいけません」。排水管にヒビが入っている場合、上階の人が試しに流したことで、下階での水漏れや、物が詰まり逆流してくることもあるとのこと。
石田氏は、全体で共有すべきことや、マンションで準備しておきたい資材についても説明。大災害による設備への影響を知ることが重要であると気づかされました。

風水害による被害への備え

私たちは直近の大災害に目がいきがちですが、自然災害は地震だけではありません。大きな被害をもたらした2019年の台風による内水氾濫の事例から、どのような被害がおきたかを検証しました。
紹介されたさまざまな過去の事例から、大災害では個人の備えはもちろん、マンション居住者全員で共有し、事前に備えておかなければ、二次災害や復旧の長期化が発生することが明らかになりました。

マンション住民は大きな家族

質疑の時間には多くの質問が寄せられ、伊藤氏からも回答をいただきました。
水を流す判断や揺れ後直後の行動、耐震基準前のマンション、個人情報や高齢者対応など、続々と寄せられるマンション特有の質問に的確に答える伊藤氏。「マンションの住民はさまざまな課題をともに抱え、解決していく者同士。当日は何とか助かったのに、水と食料を届ければ助かったのに、ということがないよう、個人情報というより、声をかけてほしいかどうかの情報を得ておく。マンション住民は大きな家族とも言えます」というアドバイスをいただきました。

今回の講座では、自助の大切さに加え、マンションとしての共助の大切さを学ぶことができました。地域の特性を知り、被害を最小限に抑えられるよう、元気に動けるときに備えていきましょう。

多くの質問にお答えいただきました(画像右上:伊藤氏)

参加者のアンケートから抜粋

  • マンションで被災したらどうするのかすごく不安でした。今後の指針としたいと思います。まずはトイレ・水・ローリングストックの準備に取り掛かりたいと思います! また、管理組合ではどのように想定しているのか、今後マンションの総会等で確認してみようと思いました。
  • 2時間では伝えきれないと思われる内容を、わかりやすく、ポイントをつかんでお話しくださり、よく理解できました。マンション住民としてやるべき事柄も具体的にわかり、さっそく管理組合や自治会に提案していければと思っています。
  • 下水道に関しては今までの思い込みが間違いであることに気づけました。夫婦で100回分の携帯トイレを準備していますが、一度試してみようと思いました。
  • マンション住人が被災した場合の想定について、今まで話題に出ていたことがなかったのでいろいろと考えさせられる内容でした。建物が安全だからと考えていましたが、水回りがすべて使えなくなることに気がつきませんでした。避難所で過ごすことがないということは、まだまだ自助の対策不足と痛感しました。
  • トイレが流せないことは知っていたけれど、台所やお風呂と聞いてそうか! と思いました。いつ流していいのかも。ごみのことなども初めて知りました。できることから始めたいです。
  • マンションに特化したお話が聞け、具体的にイメージできるようになりました。 防災マップやマンションの防災計画をもう一度見直してみようと思います。 貴重なお話をありがとうございました。
  • とても親しみやすく、内容も難しすぎず、私たちの生活に沿っている内容だったのでとても参考になりました。