やっぱり石けん！洗濯用粉石けん

液体や固形などの洗濯用石けんに比べて、洗浄力の高さが自慢の粉石けん。その原料に、飲食店などから出る使用済みの食用油「リサイクル油脂」を有効活用しました。洗濯物にふりかけるだけで水に混ざればすっと溶ける使いやすさも魅力です。

『やっぱり石けん！洗濯用粉石けん』について詳しく知ろう！

【今回お話をうかがった方】（2025年7月時点）

ヱスケー石鹸株式会社　滝沢さん鈴木さん岸さん
パルシステム連合会商品開発本部石川さん

使用済み食用油を有効活用した石けん開発に着手

◆2025年6月にリニューアルした経緯は

石川　本品の開発の前に、ヱスケー石鹸（株）が手掛けた、部分洗い用の固形石けん『地球にやさしい手でつかう洗濯石けん』が2024年に登場。使用済み食用油（リサイクル油脂）を原料とした脂肪酸（※）を使用したところ、汚れが落ちやすいと組合員から好評でした。この仕様で、より付加価値を高めた粉石けんを作ってみませんか、と同社からの提案があり、パルシステム神奈川の組合員の協力を得て今回のリニューアルが実現しました。
※石けんの主成分である脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムのこと

◆なぜリサイクル油脂に着目したのですか

滝沢　食品廃棄物である使用済み食用油は、流せば水質汚染に、燃やせば二酸化炭素が発生し、地球温暖化につながります。これを商品に有効利用することで、廃棄される油の削減をめざしました。また使用済み食用油は国内での調達が容易なので原料の確保がしやすく、価格も安定しています。そこで、長年取引のある脂肪酸メーカーと協業し、石けん商品に活用できるリサイクル油脂を原料とした脂肪酸を約3年かけて共同開発しました。日本各地の飲食店の調理場から出る使用済み食用油を集め、脱臭や分解、精製を経て、石けんに必要な脂肪酸だけを使い、当社の独自製法で製造。こうしてリサイクル油脂を使った石けん商品を製造するシステムができ上がったのです。

中和機で脂肪酸と水酸化ナトリウム・軟水化した水を混合し、
石けん素地を製造します

試行錯誤の末溶けやすさも粉飛びの抑制も可能に

◆製造上の苦労や工夫は

岸　リニューアルにあたり、リサイクル油脂を使用するうえで課題となったのは、溶けやすさと粉飛びの抑制です。リサイクル油脂は溶けにくいため、水なじみのよい脂肪酸カリウムを混合して溶けやすさを調整しました。また、粒をそろえて角をとることで流動性がよくなり、粉飛びを抑えつつ、溶けやすさにもつながりました。このような工夫を重ねることで、本品に使用する油脂の70％をリサイクル油脂にすることができました。

◆粉の洗濯石けんの特徴は

岸　粉石けんは成分がシンプルなため使用後も自然界で分解されやすく、環境への負荷も小さいことが特徴です。また、主成分が脂肪酸ナトリウムであり、その多くは弱アルカリ性です。そのため、皮脂や油脂汚れを落としやすく、汚れ落ちを実感したい方におすすめです。

真空乾燥で乾燥させて小さな針状に加工します

粒にする工程で粉飛びが少なく水に溶けやすい粉石けんが完成します

◆組合員との開発は

石川　昔から粉石けんを使っている方、使い方がむずかしいと使用を断念した方、使ったことのない方、赤ちゃんがいる方など、年代も生活スタイルも異なる12名に既存品と試作品を使い比べてもらい、意見を集めました。今回、500g規格を商品化したのも、過去に粉石けんの使用を断念したメンバーの「初めて粉石けんを使う方にとって大容量はハードルが高いのでは」という助言によるものです。

◆組合員へのメッセージは

滝沢　石けんは洗浄力にすぐれた、人と地球にやさしい素材です。そのよさと使いやすさをもっと組合員のみなさんに伝えていけたらと思います。石けんで未来を笑顔にしましょう。

岸　長年開発に携わってきましたが、本品は技術の向上とともに使いやすさや汚れ落ちも進化しています。粉石けんを断念した方にこそ、使ってほしいです。

石川　メーカーの努力で技術がすすみ、リサイクル油脂で作った洗濯用粉石けんが実現しました。ぜひ一度お試しください。

『やっぱり石けん！洗濯用粉石けん』を楽しむ

粉石けんを使ってみよう！上手な使い方のコツ

Point ①：パッケージにある使用量をきちんと計りましょう。使用する量が多いと、石けんカスが残る原因に。
Point ②：洗濯機の洗剤投入口に入れず、洗濯物に直接本品をパラパラふりかけましょう。
Point ③：袖口や襟などのしつこい汚れ部分は、ぬらして本品をふりかけ、もみ洗いしてからつけおきを。
Point ④：石けんカスは「すすぎ」のときにクエン酸を加えることで、衣類に付着しにくくなります。

肌にやさしく、赤ちゃんの衣類を洗うのも安心です！
肌に近い下着などで試してみてください。