講演会「食の未来について考える」を開催しました
10月15日、講演会「食の未来について考える」を開催し、92名(会場13名、オンライン79名)の組合員が参加しました。
今回の学習会は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン共同代表、食と農から生物多様性を考える市民ネット共同代表、日本消費者連盟顧問であるジャーナリストの天笠啓祐氏を講師に迎え、遺伝子組換え食品やゲノム編集食品の現状と問題点について話していただきました。

会場・オンラインとで多くの組合員が関心を寄せました

やさしい語り口で語る天笠氏
なぜ食の安全は脅かされるようになったのか?
冒頭「今、食が自然から切り離されつつあります。」と切り出された天笠氏。その背景として、食の工業生産化・大量流通化、輸入食品への依存による農薬汚染の拡大と残留基準緩和、遺伝子組換えやゲノム編集を行った安全性に不安な食品の登場、安全性評価のしくみがないフードテックの登場などを挙げられました。
遺伝子と環境とはバランスで成り立っている
天笠氏は「成長を早める遺伝子と抑える遺伝子など、対極となる遺伝子が存在し、お互いをけん制しながらバランスを保つことで成り立っています」と説明。続けて「遺伝子組換えやゲノム編集といった技術で遺伝子を壊すことは、バランスを壊すことになるわけです。したがって、生物のさまざまバランスが崩れて、生態系や環境などへの影響が出ると考えられます。壊していい遺伝子などありません」と語られました。
遺伝子組換え食品―わからない・選べない表示制度への改悪がすすむ
2023年4月の表示制度改正により、「遺伝子組換えでない」と表示するには、遺伝子組換え作物の混入が“いっさいない”と証明できた場合にのみ厳格化されました。このことにより、商品の表示に差がなくなっている点を天笠氏は指摘されていました。
自分たちが食べる物を選べるということの大切さ
ゲノム編集食品については、規制も表示義務もないため、一般の消費者のほとんどが知らずしらずのうちに口にしているとの話も。「消費者の食品を選ぶ権利がないというのは問題です。今、自治体の議会でゲノム編集食品表示を求める決議・採択が相次いでいて、私たちも食品表示問題について、消費者庁に対してどんどん意見を出しています。みなさんには、食べるということをもっと大事にしてほしい。自分が何を食べているのか、それを知ること・考えることは大事なことです」とも話されました。
会場からの質問「ゲノム編集食品は今度も増えますか?」
「消費者のみんなでこの問題に取り組んでいかないと増えていってしまいます。自治体の議会では、ゲノム編集食品表示を求める決議をあげているところが増えてきています。こういうことが積み重なると、自分が食べる食品を“選ぶ”ことができるようになります。そうなれば、ゲノム編集食品などが減ることにもつながるのです。だから、みなさんといっしょにこの問題に力を注いでいけたらいいなと思っています」と答え、締めくくられました。

会場参加者から天笠氏へ質問が投げかけられました

不確かな安全性から食を守るパルシステムの姿勢を示す独自のマークを表示した商品も展示
参加者のアンケートより(一部抜粋)
- ふだん意識していない食品の添加物や新技術について知ることができとても勉強になりました。食べたものは長い時間かけてからだに影響を与えると思っているので、よい商品を選択して消費者の意思を企業側に伝えるしかないなあと思いました。物価の影響を感じますが将来の医療費削減と思うようにして、からだに負担のない食品を選んで食べるようにしたいと思いました。登壇していただいた先生のやさしい話口調が心地よく楽しく拝聴できました。ありがとうございました。
- 知らないことだらけで、事実を知りショックでした。できることは限られていますが、賢い目で食べ物を選ぶことができたらいいなと思います。
- SNSで、日本の食品規制の甘さを目にするようになり、正しい情報が知りたく参加しました。思っていた以上のお話に、驚きとともに、怒りすら覚えます。。。小さな子どもを育てる者として、日常でできることはしていきたいと思いますが、まだまだ勉強不足につき、具体的にどうしたらよいのか、また勉強させていただく機会がありましたらうれしいです。また国への働きかけ等などで、私もご協力できることがありましたら微力ながらもお力になりたいと思いました。毎日が慌ただしく、なかなか食事に時間をかけられませんが、パルシステムさんの食材を活用して中身を見直していければと思います。
- たしかにマスコミでは食品の安全性について刻々進化する情報をあまり報じないですね。おもにパルシステムと他生協で買い物しているので油断していました。他の店でも買いますし、たまに外食もしたいので、今日のお話はとても興味深く聞きました。講師の先生は生産技術の進化の前で無知、無力なわれわれ消費者の利益のために検証、活動してくださっていて心強く思いました。お話の幅も広くおもしろかったのでご著書を探して読んでみます。産業化する食料品生産の安全性をチェックする運動に消費者にもできることがあれば知りたいと思いました。このテーマについての講座をぜひ継続してください。
