パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

  • 食と農 産地交流

宮城県 JA新みやぎで田植え体験

5月25日~26日の2日間にわたり、宮城県の米産地JA新みやぎにて「JA新みやぎで米作り体験(春)」を開催し、組合員8家族23名、役職員を含め26名が参加しました。

JA新みやぎとは、年間をとおして農作業体験をはじめさまざまな交流を行っています。交流開始から27年目を迎える今年度1回目の今回は、田植え体験、生きもの観察、地域の見学をとおして、世界農業遺産や、化学合成農薬・化学肥料を極力減らし環境にやさしい農業に取り組んでいる産地について、理解を深める交流を行いました。

「ササニシキ」の田んぼで体験

1日目は、宮城県大崎市にあるJA新みやぎ鹿島台地域の生産者鈴木史人さん(パルシステム米栽培研究会会長)の「ササニシキ」の田んぼで生きもの観察と田植えを体験しました。
「ササニシキ」は、あっさりとしてさめても食味が落ちにくいことが特徴で、お寿司に適しているといわれるお米ですが、寒さに弱く倒れやすいため、年々生産量が減少しています。JA新みやぎでは昨年、「ササニシキ」の栽培を始めてから60周年を迎えたことから、地域の生産者が協力して、例年より多くの「ササニシキ」を栽培しようという取り組みを行い、パルシステムでも2024年5月3回より新たに『エコ・宮城ササニシキ』の取り扱いを開始しました。

その「ササニシキ」の田植え作業を、組合員のみなさんに体験してほしいとの鈴木会長の提案で、育苗ハウスの見学と育苗箱(苗を育てる箱)をトラックに積み込む作業から体験がスタートしました。
青々と元気に育った苗を参加者と生産者がリレー形式でトラックに積み込んだあとは、田んぼに移動して、トラクターによる「代かき」の様子を見学しました。

次に、大崎市職員の鈴木さんに教えていただきながら、実際に田んぼに入り、網ですくいながら生きもの観察を行いました。参加者が捕まえたアマガエルやヒメガムシ、そして、鈴木さんが事前に水路や田んぼで捕まえたという絶滅危惧種のトウキョウダルマガエルや、たくさんのカブトエビを観察しながら、雌雄の見分け方や特徴などを教わりました。アマガエルには吸盤があり壁をのぼることができますが、トウキョウダルマガエルは吸盤がないため、整備された水路をのぼることができないそうで、昔ながらの水路を残していくことも生きものを育むためには大切であることなども教えていただき、持続可能な環境保全型農業を続けている産地の豊かな生態系を体験する機会となりました。

育苗箱に入った苗を運ぶお手伝い

何か捕まえられたかな?

田んぼに入って生きもの観察

産地交流会では毎年参加者から大好評の「ササニシキ」のおにぎりと、きゅうりの一本漬けをおやつにいただいたあとは、ふたたび田んぼに入り、苗の手植えと田植え機の乗車を体験しました。
JA新みやぎの広い田んぼでは、今では手植えをすることがほとんどないため、若手の生産者はなんと!「手植えをしたことがないから、やり方がわからない」とのこと。昔、手植えをしていたという生産者に、苗の持ち方や植え方、田んぼでの歩き方などを教わり、田んぼの柔らかい土に四苦八苦しながら、生産者やJA職員といっしょに田植えを体験しました。

ササニシキのおむすびをパクリ!

生産者に教わりながら手植えを体験

生産者と組合員がいっしょにハイポーズ

田植え機の乗車体験

田植えが終わった育苗箱を洗うお手伝い

田んぼでの集合写真

居久根(いぐね)の見学

JA新みやぎ管内を含む大崎耕土は、「持続可能な水田農業を支える伝統的水管理システム」などが認められ、2017年に世界農業遺産に認定されました。水田の持つ豊かな湿地生態系や農文化を知るために、2日目は農家の暮らしを支えてきたという屋敷林「居久根(いぐね)」を見学しました。

居久根は、強い季節風や洪水による流木から家を守るために北西方向の庭に高い木を植えたり、洪水などにより孤立してしまったときに自給できるよう、果樹や薬草、畑では野菜を栽培し、人々のくらしを守ってきました。また、農作業に適した土地や池がトンボやカエルなどの水稲害虫の土着天敵(自然界に定着している天敵)を育むなど、農業にも深いかかわりがあります。
古川で居久根のあるお宅に住んでいる佐野さんは、先祖がその土地を譲り受けたのが150年以上前とのことで、江戸時代から代々、家の周りの居久根を維持・管理されてきたそうです。

大崎市職員の三宅さんに居久根についてお話をうかがいながら、庭に生えているわらび・ふき・たけのこの収穫や、くるみを割る体験・試食をさせていただき、昔からの生活の知恵を感じることができました。

昔からの農家のくらしを学んだあとは、宮城県の伝統的な食文化「しそ巻き」作りに挑戦しました。その後、地元の野菜をふんだんに使用した昼食をいただき、2日間にわたる交流は終了しました。

居久根の見学でわらびの収穫

くるみを割る体験

しそ巻きづくり体験

参加者からは、
・とても貴重な体験をありがとうございました。子供も農業に大いに興味を持ったようです。私も生産者の方とお話をさせていただき、農薬に頼らず、自然を相手に大変な苦労をされて作られているのだとあらためて知ることができました。
・おいしいササニシキを予約します。生まれてはじめて田植えをしました。感動しました。
・田植え体験だけでなく、トラクターに乗れたこと、居久根の見学など、普通の旅行では体験できないことばかりで、とてもうれしかったです。
などの感想がありました。

   

6月には生きもの観察と草取り、10月には収穫体験を開催予定です。お楽しみに!