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「いろいろな家族のかたち~里親制度を知っていますか」を開催しました

9月24日、オンラインにてNPO法人女神の子どものためのネットワーク会議理事長の新井淳子氏を講師に迎え「いろいろな家族のかたち~里親制度を知っていますか」を開催し、62名が参加しました。

2割程度の実現にとどまる日本の里親制度とは?

「子どもは、安全で、安心できる家庭で育つことが必要ということは、あたり前のことと感じるかもしれないけれども、長い間これが実現されてきませんでした」と、話しはじめた新井氏。

子どもを「権利行使の主体」として尊重することを最大の柱とした「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、1989年に国連総会で採択され、日本も1994年に批准しました。さらにその後、2016年に児童福祉法も改正され、里親制度が注目されるようになったそうです。

講師の新井淳子氏

里親には、親代わりとして一定期間養育する「養育里親」や特別養子縁組を前提とした「縁組希望里親」、祖父母や親のきょうだいが子どもを養育する「親族里親」、専門的な知識を持った人が養育する「専門里親」の4つの種別があります。社会的養護が必要な児童は全国で約45,000人ですが、委託されている児童数は5,556人です(2019年3月末現在)。それ以外の児童は、児童養護施設や乳児院、治療施設や病院などで養護されています。里親として登録されている世帯数は15,664世帯ですが、なぜ委託数はこれほど少ないのでしょうか。それは、登録里親の高齢化によって、登録はしているけれども受け入れることが困難であったり、親の介護がはじまったため養育ができる状況ではなくなったりというさまざまな事情で、とくに必要とされる養育里親が足りていないのが現状とのことでした。

 

里親制度を知ってもらい、温かい目で見守ってほしい

では、里親になるというのはどのようなことなのでしょうか。新井氏は、2001年に里親認定されてから20年間で短期・長期合わせて7名の子どもの養育を経験されています。新井氏は、里親とは、子どもの習い事の送迎や宿題を見たり、旅行に行ったり、誕生日を祝ったりなど、あたり前の生活を提供することと話されました。このように一般家庭と同じように生活しているため里親とわかりづらいことや、個人情報の観点から里親のことを話す機会も限られるため、里親制度が浸透しづらいとのこと。「里親制度を知ってもらい、温かい目で見守ってほしい」と話す新井氏に深くうなずくみなさんでした。

会場の様子

引き続き、質疑応答となりましたが、「どのようなきっかけで里親になったのか?」や「実子の子育てとは異なる苦労はあったか?」、「実子の反応はどうだったか?」など、里親制度をより知りたいという気持ちが伝わる質問が次々とあがり、あっという間の時間でした。その後の交流会では、講演会に参加したきっかけや、まずできることは何かなど、活発な意見交換がなされ、里親制度を知るだけでなく、今、自分にできることは何かについて考えることができる講演会となりました。