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湯浅誠氏講演会「なんとかしよう!子どもの貧困」を開催しました

2月15日崎陽軒本店会議室にて、湯浅誠氏講演会「なんとかしよう!子どもの貧困」を開催し、167名が参加しました。
この講演会はパルシステム神奈川ゆめコープが昨年設立した一般財団法人神奈川ゆめ社会福祉財団が主催し、お話しいただいた湯浅誠氏は同財団の評議員でもあります。

子どもの貧困とは?

「7人に1人の子どもが貧困と言われています。実感ありますか?」と会場へ問題を提起するのは、内閣府参与を経験され、現在は社会活動家・法政大学教授の湯浅誠氏です。
それに対して、参加者からは「それほどの実感はない」という反応が半数以上でした。

湯浅氏は、「どの地域でも、”それほどの実感はない”という反応が多いです。”本当にいるのかな?”と思いながら子どもの貧困問題に対して活動を始めても継続が難しい。この問題の出発点は、実感を取り残したままにしないことです。」と、子どもの貧困について解説を始めました。

定員を超える参加者となった会場で講演する湯浅氏

子どもの貧困は2種類あり、湯浅氏は、黄信号と赤信号に例えて解説しました。

例えば、お金がなくて修学旅行には行けないけれど、学校には普通に通えているような”周りから見てわからない状態”が黄信号で、学校にも来ないなどの”周りが気付く状態”が赤信号です。黄信号の状態は、貧困の基準としてはゆるいかもしれませんが、赤信号になってからの対応は大変です。
「赤信号の前に必ずある黄信号の状態を見逃さずに対応することが重要」とのことでした。

私たちにできること

「お金がない。つながりがない。その結果、自信がない。それを貧困と言っています」と説明する湯浅氏。それに対して、私たちは何ができるのでしょうか?

経済的な貧困に対して、民間でもできることとして挙げられたのは、神奈川ゆめ奨学金です。
ただ、必要な方すべてに行き渡らせることは民間では難しく、経済的な貧困に対しては、行政の役割が大きいとのことです。
しかし、つながりという面では、民間の方が得意で、こども食堂や学習支援を例にあげました。

例えば、”みんなで鍋をつつく”という、多くの人にとって一般的な食卓風景に、こども食堂で初めて出会う子もいます。
湯浅氏は、「いろいろな人と交流できる居場所があることで、自分の家庭が一般的ではないと気付くことができる」と話されました。

高校生の声を熱心に見つめるみなさん

こども食堂の意義

こども食堂は、この3年間で約3000カ所増えていて、福祉分野ではない人たちも参加してきているとのことです。
それは、「地域づくりからなら、福祉分野ではない人でも関われると思えるから」と話される湯浅氏。

「子どもの貧困問題が気になっていても何をしていいかわからない人は、赤信号の子どもを意識したり、特別なことができなくてはならないと考えるから。黄信号の子どもに対して、いっしょに鍋を食べるだけでもみなさんに伝えらえれることはあります。思ったより自分のできることがあると思いませんか?」という湯浅氏の言葉に力強くうなずく参加者の方々が印象的でした。

最後に、貧困状態にある高校生の声をスライドで流しました。
「友だちがいるとお金がかかるからひとりでいる」など、次々と流れるスライドにハンカチで目頭を押さえる参加者も多くみられました。

「ひとりでいたいわけじゃない、でも友だちといるとお金がかかるから困る。このようにどれを選択しても困るという状態が人を弱らせます。神奈川ゆめ奨学金のようなみなさんの活動は、このような方々を支え、未来を作っています」という湯浅氏の言葉への大きな拍手とともに講演会は終了しました。

講演会終了後、青少年交流・活動支援スペースと校内カフェの取り組みについて公益財団法人よこはまユースより事例報告があり、「神奈川ゆめ奨学金」の事務局より奨学金の概要説明が行われました。

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経済的に困難な状況におかれている高校生を奨学金の給付によって支える神奈川ゆめ奨学生サポーターも随時募集しています。
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