パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

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はじめよう! コンポストのあるくらし

6月16日、鎌倉生涯学習センター きらら鎌倉にて、「鎌倉のごみ減量をすすめる会」の河野千種さん、臼田宗太郎さんを講師に迎え、学習会「はじめよう!コンポストのあるくらし」を開催し、29名が参加しました。

講師の河野さんと満席の会場

家事がラクになる!? コンポストに注目

気温が上がって生ごみのにおいも気になるこの季節。生ごみを家庭で処理すると可燃ごみも減って家事がラクになるらしい!? と近頃注目のコンポスト。

「コンポスト」とは、生ごみなどを微生物などの生きものの力で分解させて作った堆肥やその容器のこと。分解に使う資材や生きものによって方法や種類もさまざまで、庭に埋める方法、容器やバッグの中で堆肥化させる方法、ミミズの力で分解するタイプもあります。住環境や生ごみを投入する頻度などで自分に合った方法を選ぶことができます。

日本では、生ごみは「可燃ごみ」として回収され、燃やすことが一般的ですが、水分を含んだ生ごみを燃やすには大きなエネルギーが必要で、そのぶんCO₂を多く排出します。コンポストで生ごみを処理すれば、焼却時のCO₂も削減し、堆肥として活用することもできます。

この学習会は、コンポストの種類やコツについて知り、自分に合ったやり方を見つけることを目的に、昨年に続いて2回目の開催。平日午前中にもかかわらず定員を超える申し込みがあり、会場をより広い部屋に変更して開催しました。

消滅型コンポスト「キエーロ」

講師の河野さん、臼田さんが所属する「鎌倉のごみ減量をすすめる会」は鎌倉市と協働してごみの発生抑制とごみ焼却量削減の実践活動を行う会で、河野さんは「生ごみ減量チーム」のリーダーとして、おもに消滅型コンポスト「キエーロ」の普及活動をされています。

キエーロは、黒土の中に含まれるバクテリアの力を利用し生ごみを分解し消滅させるコンポスト。葉山町在住の松本信夫さんが考案され、生ごみを土に埋めると生ごみが消えることから「キエーロ」と名付けられました。電気を使わずランニングコストがゼロ、不思議と土も増えず、手間もかからないことから注目されています。

河野さんが10年以上前にキエーロを始めたころは、世のなかも地球温暖化についてまだまだ現実味がありませんでしたが、今では地球温暖化対策が待ったなしの状況となってしまいました。お子さん、お孫さんが安心して地球上でくらしていけるために、生ごみをしっかり分別し、家庭で処理することで「燃やすしかないごみ」を極力少なくできることを、河野さんがくらしのなかで実践されていることも交えながらウイットに富んだ語り口でお話ししてくださいました。ご夫婦と20代のお孫さんの4人ぐらしの河野さんが可燃ごみを出すのは、小さい袋で1カ月一度程度、というお話に、会場からは驚きの声があがりました。

今年、鎌倉市はごみ焼却施設炉が老朽化のためすべて停止し、可燃ごみの焼却をほかの自治体にたよらざるを得ないことから、さらなるごみ減量が必要とのこと。鎌倉市に限らず、あと20年ほどでごみ最終処分場もいっぱいになってしまうといわれている今、ごみ減量は私たちに共通の課題です。また、会場に展示されたキエーロは、東日本大震災後、避難所での生ごみ処理の助けになればとキエーロ考案者の松本さんが現地に赴き、普及活動をされ、そのつながりで陸前高田市の高齢者によって作られ販売されていたもののひとつだそう(現在は販売されていません)。キエーロが防災・減災にも役立つということも納得です。

講座のあと30分ほど質疑応答の時間を設け、プランターを利用する方法、土置き型とベランダ置きタイプの違い、黒土・剪定枝チップ・竹チップの使い方、虫やにおい対策など、参加者が気になっていることについて講師に回答していただきました。

◆キエーロについて詳しくはこちら「キエーロオフィシャル」へ

 

生ごみは小さくすると分解が早くなります

       陸前高田で作られたキエーロ

バッグ型コンポスト

キエーロのほかに、ベランダなどでも気軽に始められるバッグ方コンポストのひとつ「LFCコンポスト」についても、事務局より紹介しました。
LFCコンポストはパルシステムでの取り扱いはないのですが、当組合の職員で配達担当の宮本職員が自宅で実践していて、所属の横浜菅田センターでも活用しています。

バッグ型コンポストは、ファスナー付きのトートバッグの中に基材を入れ、そこに生ごみを投入して混ぜることを繰り返すと生ごみが分解されて堆肥になる、というしくみ。定期的に基材を追加していく必要がありますが、ベランダなどの小さなスペースで取り組むことできるのが特徴で、できた堆肥を家庭菜園などで活用もできます。宮本職員の自宅では5年間で約500㎏の生ごみを削減できたそうです。気になった方は、検索してみてください。

はじめよう! 続けよう! コンポストのあるくらし

自治体によって、キエーロやバッグ型コンポストなどの生ごみ処理機購入に対して助成金制度がある場合があります。コンポストを始めようと考えている方は、ぜひお住まいの市町村の助成金制度を確認してみてください。また、コンポストを始めるときや始めてからもいろいろと疑問が出てくるかもしれません。そんなとき、気軽に相談したり、コンポストの進み具合を共有するなど情報交換の場として、昨年度よりLINEオープンチャットを活用したオンラインコミュニティ「パルかなコンポスト部」が開設されています。
コンポストに興味がある方、LINEオープンチャットに参加できる方なら、いつからでもどなたでも参加できます。2025年度いっぱいゆるーく活動していきますので、参加してみたいという方はぜひお申し込みください。学習会講師の河野さん、臼田さん、LFCコンポストを実践している宮本職員も参加してくださっています。みんなでわいわいコンポストトークを楽しみましょう!

パルシステム神奈川ではこれからも循環型社会をめざして取り組みを続けてまいります。

◆パルかなコンポスト部の詳細・お申し込みはこちら

学習会参加者の声

  • キエーロを以前から使おうか検討していたので、今回参加して使い方を詳しく知れて、ちょっとした疑問も解決できました。よい機会でした。これから暑くなるので分解も早そうですし、早く自宅に設置したくなりました!
  • 以前プランター型のコンポストをやりかけて、めげてしまいましたが、もう一度何らかの形でチャレンジしてみたいと思いました。実践している方の具体的なお話がうかがえてよかったです。
  • 質問の時間がたくさんあってよかったです。疑問点が解決し、理解が深まりました。
  • バック型コンポストというのを知りました。手軽にできそうなので、早速使ってみたいと思いました。