パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

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「有限会社やさか共同農場 公開確認会」を開催しました

10月12日~13日、島根県浜田市にある「有限会社やさか共同農場」にて公開確認会を開催しました。3年ぶりに対面で実施し、事前に行った基礎学習会と事前学習会を修了した組合員・理事代表の監査人、役職員など17名が産地を訪問。『有機小松菜』の栽培状況や帳票などを確認しました。

公開確認会は、1999年に始まった、生産者と消費者(組合員)の二者が産地で生産状況を確認するパルシステム独自の取り組みです。これまで農産、畜産、水産の産地を中心にグループ全体で累計148回の公開確認会を開催しています(2022年6月時点)。

今回、当組合が公開確認会を行ったやさか共同農場は島根県の西側に位置し、中国山地の山あいをぬうようにほ場が点在している産地です。信号機もコンビエンスストアもない小さな町のなかにあるこの産地では、自然、知恵、技術などの資源をフル活用し、有機にこだわった栽培を行っています。2015年度には「環境保全型農業推進コンクール」にて最高賞にあたる農林水産大臣賞を受賞しています。

雄大な景色が広がるなかにある「やさか共同農場」のほ場

公開確認会 1日目

島根県浜田市弥栄町にある弥栄会館にて、公開確認会は開会しました。当組合渡邊専務理事は開会のあいさつのなかで、「産地とパルシステムとは信頼関係もあり、よい緊張感のある関係でもあり、消費者も自分が食べる物の価値を知る努力が必要」と話し、産地と良好な関係を築いていきたいとの思いを述べました。

続いて、やさか共同農場代表取締役の佐藤大輔氏は、この日を待ちに待っていた様子で、「生産者のくらしを感じ、五感を研ぎ澄まして公開確認会を行っていただきたい」と述べました。

当日は、有機農業に力を入れている浜田市の副市長も駆けつけ、こちらの産地を市を挙げて応援している様子がうかがえました。

開会式には若手生産者のみなさんも集まり、子どもの頃に親しんだこの地が荒れるようなことにはしたくない、守っていきたいとの思いで営んでいることをあいさつのなかで語っていました。

このあと、やさか共同農場の理念や概要、物流の問題などについて産地から説明を受け、ほ場、農機具、農薬保管庫の視察へと向かいました。

やさか共同農場を担う若手生産者のみなさん

産地の理念や概要などについての産地プレゼンテーションの様子

実際に見て、触って、感じることの大切さ

やさか共同農場取締役の竹岡篤志氏の案内で、『有機小松菜』のハウスで視察を行いました。中に一歩踏み入れると足元の土はふかふかでやわらか。聞けば「もみがら、米ぬか、鶏糞」で土づくりをしているとのこと。代表取締役の佐藤氏があいさつで「五感を研ぎ澄まして」と述べていたように、実際に現地にうかがえたからこそ感じとれたことであり、対面で公開確認会を行えることの大切さを実感した瞬間でした。

生産者(右)の話を熱心に書き留める監査人のみなさん(左)

山のように積み上げられているもみがらは、土づくりに欠かせない資源

監査人のみなさんは監査項目に沿って、竹岡氏にさまざまな質問を投げかけていました。小松菜の味・品質向上の取り組みについての質問に対し、研究熱心な竹岡氏からの回答内容を聞いて、監査人からは「農業は科学ですね」と感心する場面も。また、収穫後の畑は太陽熱を使って処理していることなど、自然の力を最大限に取り入れて栽培に生かそうと日々研究している様子が印象的でした。

帳票作成も大事な作業のひとつ

ほ場での視察を終え、再び弥栄会館に戻り、次は帳票の監査です。ここでいう帳票とは、栽培計画や栽培記録、出荷記録などのことを指します。ここでも監査人のみなさんは真剣な表情で、帳票を確認しては生産者に質問し、大事なことを書き留める、を繰り返していました。帳票は手書きのものが多く、作成するにもかなりの時間を要するとのこと。よい生育につながった点も改善すべき点も含め、翌年以降の栽培計画に反映させるための大切な作業のひとつであることが、説明を聞いて理解することができた様子でした。

生産者に質問しながら帳票確認をすすめます

いくつもの帳票を時間をかけて確認します

公開確認会 2日目

午前中は、調整場での小松菜の選定と袋詰め作業の視察を行いました。施設内の壁には手洗いなどの注意書きや、葉の状態の良し悪しを判断するための画像を掲示するなど、作業を行う人によって差が出ないよう配慮してありました。産地で積極的に受け入れている海外からの研修生も、手慣れた様子で作業を行っていました。

人の体温が作物に移らないよう、1束30秒以内を目標に選定

手際よく作業を行う研修生のみなさん

弥栄町の魅力を伝える農村体験の場「ふるさと体験村」を見学

一般の方々が遊びに訪れる場として、また子どもたちへの教育の場として、生産者のみなさんが2023年春営業再開に向けて携わっている「ふるさと体験村」。近い将来、多くの人が訪れ、農村の魅力を感じ、産地が活性化することにつながってほしいとの思いで奮闘している様子がうかがえました。

農村体験の場「ふるさと体験村」の外観

豊かな自然に囲まれています

監査人からの報告

午後は弥栄会館に戻り、監査の報告を行いました。監査人から、監査に協力いただいたことのお礼と今回の所見が述べられました。「パルシステムの考え方と一致していると思われます」「環境保全に向けた取り組みや残留農薬検査などもクリアしています」「帳票類も要件を満たしていて、きちんと管理されていました」「「ふるさと体験村」営業再開に向けての取り組みは町おこしとしての位置づけであることがうかがえました」「職員同士、週1回の打ち合わせやLINEで情報共有をしていることがわかりました」などの報告や、「「みそづくりキット」で交流したいです」といった要望もありました。

産地からは「久しぶりに消費者の方々と顔を合わせることができました。ハウスの中でも、監査人のみなさんが熱心に質問をされ、あれほどまで多くのことを語ったのは初めての経験となり楽しい時間を過ごせました」「小松菜やポップコーンなどを(カタログで)見たら、今回ここで感じたことを思い出してください。そして周りの大事な方々にその思いを伝えてください」と受け止めの言葉があり、2日間にわたる公開確認会は無事終了しました。

やさか共同農場の『有機小松菜』と収穫したての鷹の爪を持って記念撮影  ※集合写真撮影時のみマスクを外しています

商品カタログに毎週掲載されている『有機小松菜』は、そのときによりお届けする産地が異なります。また、今回訪れたやさか共同農場は「西日本有機農業生産協同組合」に所属しているため、商品カタログでは「西日本有機」と表示されているなかに、やさか共同農場が含まれることになります。

パルシステムで扱っている、やさか共同農場の『有機小松菜』や加工品

やさか共同農場だけでなく、有機野菜を扱っているほかの産地も、さまざまな工夫とこだわりをもって環境に配慮した持続可能な農業に取り組んでいます。有機野菜を毎日の食事に取り入れ、産地を応援し、「もっといい明日へ 超えてく」生活を始めてみませんか。