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~初夏の田んぼは生きものがいっぱい~ 「お米の生産者と会おう! 話そう!」(JA新みやぎ)を開催しました

6月19日、宮城県JA新みやぎとオンラインでつながる企画を開催し、組合員3家族が参加しました。この企画は「おうちでお米を育てよう!」(バケツ稲の栽培)の参加者を対象に開催し、産地から生きもの調査や田んぼの様子などを紹介しました。

田んぼには生きものがいっぱい

エコ・チャレンジやコア・フードの「宮城ひとめぼれ」を栽培しているJA新みやぎは、地域が一体となって環境保全型農業を行っている産地です。管内には毎年多くのマガンが飛来する湿地の蕪栗沼(かぶくりぬま)もあり、管内を含む大崎耕土が世界農業遺産に認定されています。エコ・チャレンジ米は、化学合成農薬70%削減、化学肥料96%削減と、エコ・チャレンジのなかでも削減率が高く、田んぼではたくさんの生きものを見ることができます。

この日は、JA職員が産地の概要を紹介したあと、大崎市職員の鈴木さんから世界農業遺産についての説明がありました。大崎耕土は江戸時代より良質米の産地として認められてきた場所で、川が田んぼより低いので水を引くのが大変なのだそうです。山の中に穴を掘って水を引いたり、川を堰き止めて田んぼに水がいきわたるようにしており、この地域だけでも6000kmある水路を地域の人が共同で管理しているそうです。水を管理することで田んぼにはツバメ、サギ、カエル、ゲンゴロウなど、さまざまな生きものが住むことができ、農村を支えていることなども教えていただきました。

ゲンジボタルの幼虫のエサとなるカワニナ

田尻地域の田んぼから中継

田んぼの生きもの調査

生きもの調査で見つけた生きもの

安全安心で良質なお米を届けるために、毎年産地では、各地域の田んぼや水路で生産者自らが生きもの調査や生育調査を行い、生物多様性を確認しています。この日の朝にも生きもの調査が行われ、当日捕まえたカワニナ、どじょう、カブトエビ、ザリガニ、シジミなどを解説を交え見せていただきました。生産者久保さんの田んぼではカブトエビが年々増えてきており、有機質の肥料を入れている影響ではないかとのことでした。

生産者のみなさんから、田んぼの水の中で大きな生きものが動きまわり除草効果があることや、農薬を減らしてもすぐに生きものが増えるわけではなく生きものへの影響が少ない薬剤を使用することで年々増えてきたこと、その年の天候によって生きものの数が左右されること、雑草に耐性ができてしまい使う薬剤にも工夫が必要なことなども教わりました。

JA新みやぎ生産者のみなさんと大崎市職員鈴木さん(前列右)

〇✕クイズでさまざまなことを教わりました

現在田んぼの苗は順調に生育していることや「熱中症にならないように気をつけてみなさんにおいしいお米を届けます!」との生産者の決意表明もあり、秋の新米が楽しみになりました。

また、バケツ稲は、水を切らさず常に水がある状態にすることや、茎の本数が増えすぎても穂をつけないので1株あたり25本くらいに分げつするのがよいと教わりました。

バケツ稲についての説明の様子

参加者からは
「減農薬の取り組みが具体的に環境にどう繋がっているのか、それに取り組むのにどれほどの手間がかかるのかを今回のイベントで具体的に理解することができました」
「生産者のみなさんにお会いし、お米づくりについて熱心に教えていただいたことで、その後に食べたお米がよりおいしく感じられました」
「産地ツアーが再開したらぜひ産地を訪れて、子どもたちに田んぼに足を突っ込んで泥まみれになる体験をしてもらいたいと思います」
「リアルには敵いませんが、オンラインでも楽しめました」
などの感想が寄せられました。

今回もコロナ禍でオンラインでの開催となり、産地で生きものを直に見ることはできませんでしたが、画面越しでもたくさんの生きものを観察でき、自然を感じられる企画となりました。秋の収穫の時期にはまた産地とつながる予定ですので、みなさんお楽しみに!