市民活動応援プログラムの支援団体について、各団体の訪問・ヒアリングを行い、支援金の使途状況や近況などを確認し報告します。

  • 第25回助成
  • 福祉

NPO法人 いごこちよか

当組合では、市民活動応援プログラムの支援団体について、支援金の使途状況や近況などをうかがうため、各団体を訪問しています。

NPO法人 いごこちよか

NPO法人 いごこちよかは、障がい児者などを中心としたさまざまなグループ活動の実践をとおして、障がい児者などが互いに育ち合い、成長し、支え合うことができるような余暇活動の充実を図る場、また、安心して自分のペースで居心地よく過ごせる時間や空間を提供している団体です。年1回ホールを利用し、ジャンルを固定しない出演者とともに質の高い内容の音楽会も実施しています。

所在地:相模原市中央区
ホームページ:https://igokochiyoka.com/

今回は、当団体の色いろワークショップの一つ「ドラムサークル」を見学しました。
来場した参加者は、受付で参加費を払います。受付には、当月のワークショップ予定や、年前期の活動予定一覧、6/8に相模原市立あじさい会館で行われ当団体も参加する「あじさいフェス」のチラシなどが置かれていました。運営スタッフと講師の方、参加者計13名(+訪問者の我々も加わらせていただきました。)が輪になって椅子に座り、一人ひとつの「ドラム」を足に抱えてワークショップはスタートしました。まずは、みなさん自由にドラムを叩きます。お互いの表情も見られ、部屋全体に自分や仲間が発する音が響くと、心まで踊りだしそうな感覚になります。印象に残ったのは、講師の方が、ドラムを叩きながら4分音符、8分音符、16分音符の説明をして「このように音を二分していくことは無限にできます。つまり、どんなリズムも叩き方も間違い、失敗はないということです」とおっしゃっていたことです。また、「休んでもいいです。同じ空間にいることでリズムを感じられます」ともおっしゃっていました。参加者の方が遠慮せず前向きに取り組めるような声掛けが随所にありました。その後、音の大きさを変化させたり、ドラムによって違う音の高さごとにグループ分けをして、グループごとに音を出したりと、身体全体で音を感じながら、ワークショップを楽しめるような工夫がされていました。

多彩なワークショップを開催していますが、参加者は平均10名~13名です。参加者は正会員、賛助会員、メンバーズ(療育手帳などを持っている方)のいずれかに入会し入会金や年会費を払ったうえで(メンバーズは入会金はなし)、ワークショップ参加の際に参加費を支払います。ワークショップの内容については、理事長ご自身が参加したワークショップを参考にしたりして考え、その場で講師の方に声を掛け「色いろワークショップ」の講師を依頼することもあるそうです。

【支援金、賛助金活用状況】
「色いろワークショップ」の講師料や材料費に使用します。

【障がい者の方の余暇活動支援について】
高等部に通う年齢までは16:00以降放課後デイサービスを利用できますが、卒業後の18歳以降、作業所や仕事の後の時間は余暇時間となります。その時間をどう過ごすかは、本人や親御さんによる個々の選択とはなりますが、その時間をサポートする場には需要があり、理事長はそれを形にしました。

【課題】
・参加人数の確保
・自己資金をどう獲得するか
・バスを利用してグループホームからひとりで来られる方もいらっしゃいますが、そうではない方の送迎までは手が回らない
そのなかでも、活動を継続していくこと、ここに来ればワークショップをやっているということをキープしていきたいとのことでした。参加者が、気持ちや体調をすべてここ(いごこちよか)の活動へ向けることはむずかしいけれど、ここにこういう場所があるということが余暇の気持ちの拠り所になればという理事長の想いが感じられました。

【訪問者の感想】
行政や教育機関、福祉サービスの支援の狭間となっている障がい者の方の「余暇活動」をサポートする当団体の活動には、需要や意義があると考えます。どんな人にとっても、生活していくためにお金を稼ぐこと(=仕事)は必要ですが、それと同時に余暇時間の充実(自分の心やからだを解放することや、好きなこと、没頭できることをすること、仲間と活動することなど)も生活や人生において大きな意味をもつと考えます。実際にワークショップに参加し、からだを使い、心を動かし、仲間との一体感を感じながら行う活動は、彼らの心とからだを育んでいると感じました。多彩なワークショップを用意し、障がい者の方の余暇時間を豊かにする場を維持している当団体の活動を応援したいと思いました。理事長の息子さんもワークショップに参加し、そのなかで28歳になってから新たにできるようになったこともあるそうです。また、老若男女が参加できる活動は、高齢者の老化防止にも寄与します。その人が本来持っているポテンシャルを引き出すことにもつながる余暇時間の充実を軽視せず、大切にされている当団体の行動力に感銘を受けました。

ドラムはひとりひとつずつあります