グリーフケアcafeつむぐ
当組合では、市民活動応援プログラムの支援団体について、支援金の使途状況や近況などをうかがうため、各団体を訪問しています。
グリーフケアcafeつむぐ
グリーフケアcafeつむぐは、大切な存在を失った方同士、悲しみを語り気持ちをわかち合うことを目的とする、哀しみの居場所・わかちあいの会を開催している団体です。主催者は伴走者として寄り添い、グリーフの知識を提供します。医療では手を差し伸べられない遺族支援へアプローチを行い、精神状態の早期回復へ繋げ、誰もが生きやすい温かい社会に貢献することをめざしています。
所在地:相模原市南区
ホームページ:https://cafetsumugu.my.canva.site
今回は、毎月1回当団体が主催している「わかちあいの会」の開催場所でお話をうかがったあと、会場の様子を見学させていただきました。
【支援金、賛助金活用状況】
・4月19日に開催した「グリーフケアの時代に」上映会の機材や会場費など運営費
・わかちあいの会とともに開催するワークショップの材料費や講師謝礼
・チラシ代
・運営スタッフは無償であるが、交通費のみ支給
【訪問時にうかがった活動の現状】
〇4月19日に当団体が主催し、当助成金の使途ともなっていた、映画「グリーフケアの時代に」上映会について
約90名の来場があり、開催後には「今後の活動を応援しています」などの温かい反応や、公式SNSの登録者数が増加したりしました。まだまだ一般的には浸透していない「グリーフケア」というものに対する認知を足元から高めるためのイベントになったようでした。イベントによって「自分ごととして考えてもらえる」きっかけになるとの手応えも感じました。今後もこのようなイベントを行っていきたいとお話しくださいました。
〇毎月1回開催している「わかちあいの会」について
定員は6名としているところ、毎回8~9名程の参加希望があり、入れない方は次の回にとしています。会の中では、45分ほどの「気持ちを分かち合う時間」を設け、大切な方への想いを語ってもらい、大切に聞き合います。人の話を聞き、自分の感情に気づくこともあると代表の方はおっしゃっていました。「話したくないときは話さなくても大丈夫です(パスの権利)」や「他の方へのアドバイスはお控えください(相互尊重)」などのルールを設け、参加者の方が傷つくことがないように配慮をしています。そして、グリーフの専門知識も提供します。具体的には、大切な方を亡くされて「混乱」「否認」「抑うつ」「怒り」「罪悪感」など、さまざまな感情が生まれ得ますが、それらを経験しながら少しずつ「再生」へ向かっていくということや、クリスマスやお正月などの行事や大切な方の命日に生まれやすい反応についてや、感情は「喪失」と「回復」の間で揺らぐ正常なものということなどを気づかせてあげます(その日のメンバーによってお伝えする内容を変えているとのことです)。参加者の方からは、「周囲の人にはもう大丈夫でしょ、と言われて、抑えていた想いも、この場でなら話せる」という声もあったそうです。定員が少人数であることに関しては、一人ひとりの状況を把握しながら会をすすめていくので、この人数が限界ではということでした。
〇わかちあいの会とともに開催しているワークショップについて
いつまでも手元に残り、大切な方へお供えできる、スポンジのデコレーションケーキを作るワークショップを行いました。作業に没頭することで心が癒やされる効果もあります。
【「グリーフケア」について】
国内では2009年に日本で初めてグリーフケアを専門とした教育研究機関として設立された「上智大学グリーフケア研究所」があります。つまり、国内において専門的に研究されるようになってからはまだ日が浅い分野といえます。医療や介護のその先に起こる可能性のあることですが、「グリーフケア」を提供しても現在診療報酬はつかないことから、病院内に(グリーフケアを扱う)小さなグループがあり、対象の方に週1回程度電話で連絡をすることなどが限界のようです。
それでも、最近は、大学や看護の場でも「グリーフケア」という言葉を聞くようになってきています。たとえば、大学などで映画上映などが行えたらともおっしゃっていました。
【課題】
・上映会ができる機会を作りたい(グリーフケアというものの認知を高めるためにも)。
・学校とつながり、映画を見てもらえるようにできたらと考えている。
・グリーフケアに関わる場をまとめたグリーフケアマップを作りたい(仙台に前例あり)。
・主催団体ごとにカラーがあるので、利用者に自分に合った場所を見つけてほしい。
・相模原地域での活動周知、働きかけなど積極的にしていきたい。
【訪問者の感想】
まだ、社会的に認知が高いとは言えない「グリーフケア」という分野について、専門知識も交えながら、ていねいに向き合い活動を行っていることが感じられました。
現代社会は、個人が「孤独」と向き合う社会であると感じます。孤独はさまざまな原因から起こり、それぞれの原因も複雑に絡み合っていると思いますが、そのなかのひとつに「大切な人との別れ」はあり、それを癒やそうとする当団体の活動は意義のあるものであると思います。オンラインネットワークが普及して久しく、インターネット上でコミュニケーションを行う選択肢もあるなか、対面での会開催などの活動を継続しているところも心の通い合いを大切にしていることが感じられました。今後「グリーフケア」についての社会的認知が高まり、このような居場所が増えることを期待したいです。
参加者にとって、団体の安全性がある程度確かめられる、グリーフケアマップにも需要があると思いました。

ヒーリングミュージックが流れ
ブラインドから漏れる日差しが心地よい室内は
広さも適切です