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講演会「相談する人としない人~よりそいホットラインから見えるもの」を開催しました

12月11日、(一社)社会的包摂サポートセンター事務局長の遠藤智子氏を講師に迎え、オンライン講演会「相談する人としない人~よりそいホットラインから見えるもの」を開催し、組合員、役職員含め47名が参加しました。

よりそいホットラインは、24時間年中無休でさまざまな悩みに寄り添い、解決の糸口をいっしょにさがしてくれる相談窓口です。今回は、相談員の方たちが大切にしていることや体制、相談の代表的な例、そこから見える課題についてお話しいただきました。

相談者をがっかりさせない

「24時間365日、いつでも相談できるため、いちばん初めの電話対応の場所になることが多い。相談される方は勇気をもって電話をかけてくださる方。そのみなさんを、どうしたら失望させないかはとても大切」と話す遠藤氏。言葉の一つひとつに、相談員の方たちの誠実で真摯な姿が伝わってきました。
表面に見えていることだけでなく、その方の背景や周囲の状況、価値観なども視野に入れ考えていかなければ、将来にわたりその課題を解決できない。地域のなかで安心してくらしていけるよう、ワンストップで、さまざまな社会資源(※)につながるサポートを心掛けているとのこと。

※社会資源:行政や(公的な)法人、地域などのさまざまな人や制度、サービス、施設など。

よりそいホットラインの説明をする遠藤氏

講演資料

さまざまな相談事例から

続いて、虐待やDV、ヤングケアラー、セクシュアルマイノリティ、今死にたいと思っている方の相談など、多岐にわたる相談事例から、情報を統合するなど個人情報保護に配慮して紹介されました。胸がいたくなるような相談内容に、参加者からも相談の場、相談できる環境が必要との声が聞かれました。

  

偏った情報に囲まれやすい社会

外部委託したアンケート調査からは、話を聞いてもらいたいと思いながら、相談できていない方たちの実態が明らかに。
遠藤氏は、偏った情報が拡散されやすいインターネット社会への懸念を示されました。
インターネット上では、「検索した情報と似通った意見が次々に表示され、同じ意見に囲まれやすくなる。その情報に翻弄され、相談を避けてしまう人が多いと思われる。今後は適切な情報提供や、悩みを抱えた方がどのような情報を得ているかを知ることが必要」とデジタル社会の課題が語られました。

講演の最後には、多くの質問が寄せられました。
インターネットの影響などを心配した質問には「自身のからだや心にかかわることや大事な制度などの情報は、発信元をクロスチェックするなどして信用できるかどうかの確認を」、また、困っている方がいたときにできることがあるかとの質問には「情報発信する場合、個人アカウントでは(悪意のある行為による)危険もあると思うので、公的な活動をしている法人、団体が『世の中にはいい人もいて、頼れる場所がある。そういうときにはこういうところに相談するといい。その根拠はこういうこと』というような発信を行うこともできるのでは」など、ていねいにお答えいただきました。

多くの質問にていねいにお答えいただきました

アンケートから

  • とてもわかりやすく大変勉強になりました。 相談を聞くことだけで終わっていると思っていたので、そこから社会的な手続きなどにつないでいくしくみを作られていることに、大変驚きました。
  • 相談までいかない人が多いことを始めて知りました。知らないことが多く、自分に何ができるのか考えました。
  • 支援が必要な方々の為に、とても考えられた体制を作りあげて来られたことがよくわかりました。
  • 相談も多様化しているのだなと思いました。事例に涙しながら聞いているときもありました。相談する側もされる側も辛かったでしょう。貴重な時間を得ることができました。ありがとうございました。
  • 時代にあわせて相談窓口を増やしていくなど、つねに相談者の立場を考えているのだと感じました。
  • 社会のなかで、他人のお話に耳を傾け、親身になって寄り添い考えてくださる方がいらっしゃることに大変感動しました。 相談の内容はどれも重く深刻なものが多かったですが、向き合ってくださる方がいることで、そういった社会問題が表面化し、世の中が変わるきっかけとなる大事な活動だと感じました。
  • 講師の方に尊敬の念を抱きました。 大変わかりやすい講演でしたし、質問もよく考えて返答していらっしゃいました。窮地に陥ったとき、身内ではなく専門の方に相談したいこともあります。相談員の必要性を感じました。

  

※この講演会はパルシステム共済連「福祉たすけあい助成金」を使用して開催しています。