市民活動応援プログラムの支援団体について、各団体の訪問・ヒアリングを行い、支援金の使途状況や近況などを確認し報告します。

  • 第25回助成
  • 福祉

認定NPO法人 スペシャル・オリンピックス日本・神奈川

当組合では、市民活動応援プログラムの支援団体について、支援金の使途状況や近況などをうかがうため、各団体を訪問しています。

認定NPO法人 スペシャル・オリンピックス日本・神奈川

認定NPO法人 スペシャル・オリンピックス日本・神奈川は、知的障がい者の自立と社会参加をスポーツを通して支援する活動を行っています。県下36カ所でオリンピック競技に準じた14の競技のスポーツトレーニングを日常的に開催し、その成果の発表の場として競技会を開催しています。この活動はボランティアとファミリー、資金面は個人や企業・団体からの寄付で運営されています。

所在地:県下36カ所のうち、横浜市内9カ所、藤沢市内6カ所、秦野市4カ所など
ホームページ:https://son-kanagawa.com/

今回は、江の島ボウルで開催された当団体の夏季地区大会のボウリング競技を見学させていただきました。
10レーンが並ぶボウリング場には、アスリートの方々が14名、運営ボランティアの方々20名程がいらっしゃり、熱気を感じる雰囲気でした。アスリートの方が力を込めてボウルを投げると、フロア全体に音が響き渡りとても迫力がありました。パワーだけでなく、コントロールもすばらしく、1ゲーム150点~200点を超える方もいらっしゃいました。全部で3ゲームが行われ、スポーツに全力で打ち込むとき、障がいの有無は大きな問題ではなくなる、ということを目の当たりにしました。
競技が終わると、表彰が行われ、順位の発表はありながら、アスリート全員にメダルが贈呈されました。メダルを贈呈するのは、ボランティアの方々です。大会をとおして、アスリートの方々の真剣さ、大会がレベルが高く本格的であることに圧倒されました。

【活動の状況】
設立30年目を迎えた、スペシャルオリンピックス日本・神奈川では現在、約400名のアスリートと約300名のコーチ、ボランティア、ファミリーが活動しています。「スポーツを通して、知的障がいのある方々の社会参加を応援する。」という目的があります。
県下15の競技について、日々のトレーニングを行い、その成果を地区大会、全国大会、世界大会で発表します。トレーニングはプログラムによって、また会場の状況によって異なりますが、1週間に2~4回などです。
会長と事務局次長は「アスリート達はスポーツプログラムではいちばん伸び伸びしている。社会ではそうもいかない」とおっしゃっていました。また、「彼らにも思っていることや行動したいことはあり、個性も豊かである」ともおっしゃっていました。それらの言葉は、実際にボウリング競技を見ることで大いに実感できました。
競技によって、世界大会に出場する方や、東京パラリンピックに出場した方もいらっしゃいます。
コーチはパラリンピックの初級・中級の審判資格をもっている方が多いです。
社員会員は5,000円(初年度のみ入会金として別途5,000円)、賛助会員は3,000円の年会費を払います。ほかに年会費のかからない登録会員もあります。活動の財源はこれらの他、企業団体・個人からの寄付や協賛、助成金、物販販売収入などです。また、地区大会などの会場となる施設も協力的です。

【支援金、賛助金活用状況】
事務局5名(職員3名、パート2名)の人件費として活用します。

【課題】
・アスリートの数を増やすこと。
・現在スポーツプログラムのない地区にもプログラムを設置すること。
・ボランティアの数を増やすこと。
・協賛企業を増やすこと。
(・そのためにもスペシャルオリンピックスの認知を高めていくこと。)

【当組合との連携】
年に3回、イベント時に当組合からのお菓子の提供が行われています。

【訪問者の感想】
当団体は、アメリカで発足した「スペシャルオリンピックス」の精神を受け継ぐ、国内の団体のひとつで、アスリート、ボランティア、協賛企業など多くの人がかかわる組織です。それぞれの努力と立ち位置や役割が明確で、系統立って運営されていることで、成立し大きな意義と成果を生み出していると感じました。そのために助成使途となっている人件費も重要で、必要であると思いました。日本において、アメリカやヨーロッパに比べて「スペシャルオリンピックス」自体の認知度が低いことは、「日本では知的障がいへの理解がいまだ低い」ことが影響していると考えられるとうかがいました。障がいへの理解とともに、「スペシャルオリンピックス」への認知も高まっていき、活動がさらに盛んになるといいと思いました。
「アスリートの方々がスポーツプログラムでは伸び伸びしているが、社会ではそうもいかない」と会長からうかがった言葉が印象に残りました。社会という広い海においては、百人百様の個性をもったすべての人が、伸び伸びと自分らしく生きる術を見つけることはもしかしたらむずかしいのかもしれません。そのときに、自分の個性や力を発揮できる場所を見つけることは重要になります。当団体は、知的障がいのある方々にとってそのような場所になっていると感じました。彼らの力が発揮される場があることが、かかわるすべての人の心と体を育み、地域社会にもいい影響を与えていくと思いました。

会場となる施設も大会開催に協力的です