パルシステム商品には、商品カタログの中だけでは語り尽くせない、組合員や生産者の思い、開発に携わったメーカーの開発秘話などがあります。『商品図鑑』 ではそのような思いや、こだわり、商品の歴史に光を当てていきます。ひとつの商品から、パルシステムの全体像が見えてきますよ!
産直茶葉を使ったパルシステム初のオリジナル茶飲料。低温で抽出することで苦みや渋みを抑えています。
◆本品は、『鹿児島知覧有機栽培の産直緑茶』(以下、「産直緑茶」)を主原料として、2018年10月に誕生しました
八木 「産直緑茶」がPB商品(※)として登場したのは2006年のこと。以来、そのおいしさや安全性への信頼 から、今では販売量が当時の3〜4倍になるほどの人気商品に。(株)水宗園本舗は製茶の最終仕上げを担い、産地と二人三脚で「産直緑茶」を製造してきました。10年以上にわたるその積み重ねから、2018年に茶葉の生産者団体の「うまか有機銘茶会」と水宗園本舗、パルシステムで産直提携を結び、「うまか有機銘茶会」はパルシステム初のお茶の産直産地になりました。本品は産直原料の茶葉で作った最初の茶飲料というわけです。
※PB商品‥独自開発商品
有機発酵肥料は生産者が自ら製造
◆本品が生まれた背景は
高橋 近年はペットボトルに代表され る携帯できるお茶のニーズが高まっていますが、これまでパルシステムにはPB商品としての茶飲料がありませんでした。そこで産直提携を機に、その茶葉を原料にした、外出の際にも手軽に利用できるABパック入りの製品を開発することになったのです。
◆茶の有機栽培のむずかしさとは
八木 うまみを蓄えた茶葉は、木に充分な施肥をしてこそ生まれるものです。また、やわらかな新芽は病気や害虫の被害を受けやすいため、栽培には化学肥料や化学合成農薬を多用するのが当然と考えられてきました。一方、「うまか有機銘茶会」では約20年前から油かすや魚粉などを発酵させた有機質肥料の自家製造に挑戦し、活用。はじめのうちは不作や、虫害で新芽を全滅させてしまったりと、生産者の苦労も並大抵ではありませんでしたが、今では日本を代表する有機栽培茶の産地となっています。
◆本品がめざした味わいとは
八木 生産者が手塩にかけて育てた有機栽培茶なので、急須でいれたときのような茶葉の甘みやうまみ、香りのよ さがきちんと感じられる飲料にしたいと考えました。
◆原料には煎茶、ほうじ茶、粉末緑茶を使用しています
八木 まずは煎茶だけを抽出して試飲してみたのですが、すっきりしてはいるけれど味もそっけもないものに。さらに、紙パック特有の乾いたようなにおいが気になるという声もありました。茶葉のおいしさには自信があっただけに、それをどう生かすかを考え、ほうじ茶と粉末緑茶を加えてみたところ、すっきりとした飲み口のなかに香りのよさとうまみが感じられることがわかったのです。それから煎茶だけに頼らず、3種類の原料による試作をスタートさせました。
産地交流ではお茶摘みも体験
◆完成させるまでに苦労したことは
八木 ほうじ茶を多めに加えると焙じた香ばしさのみが強調され、粉末緑茶を増やせばすっきり感が損なわれてし まいます。また、お茶は高温で抽出すると渋みや苦みが強く出てあと味が悪くなってしまうことも。主原料の煎茶に対してほうじ茶、粉末緑茶それぞれの割合はどのぐらいがよいのか。まろやかな味わいにするための抽出温度は何度ぐらいなのか。数多くの原料の配合率と抽出温度帯の組み合わせで試作を繰り返しました。
◆本品の魅力は
八木 お茶のおいしさは茶葉から浸出したうまみや甘み、新鮮な青葉特有の香りにあります。本品は、そのおいしさを感じていただける商品になりました。
高橋 長年「産直緑茶」を応援してくれている組合員さんが、納得できるお茶であることを前提に開発をすすめました。有機栽培茶ならではのやわらかな甘みやまろやかな口あたりを楽しんでいただけると思います。
甘みと香りのよさが特徴の知覧茶
■生葉を蒸したあと冷却し、熱風で乾かしながら葉をよる工程を経て荒茶が完成。
■原料茶葉から抽出後、冷却。ろ過、異物除去、殺菌などを経てABパックに充てんし、でき上がり。
ABパックとは「内側が銀色」の紙パックのこと。光が容器を透過して品質が変わるのを防ぎます。パルシステムでは牛乳などの紙パックとともに回収しリサイクルしています。飲んだあとは、ぜひ回収にご協力ください。
ABパックの戻しかた 手で開いてもOK