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2017/02/02
イベントレポート
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“台所の窓は社会とつながっている”「枝元さんが語るTPPとくらし」を開催しました

1月30日、かなっくホール(神奈川区民文化センター)にて、横浜生まれの料理研究家、枝元なほみ氏を講師に「枝元さんが語るTPPとくらし」を開催し、組合員・一般市民・役職員含め156名が参加しました。

パルシステムでは、一人ひとりの選択でよりよい社会や自然環境を次世代へ引き継ごうと「『ほんもの実感!』くらしづくりアクション」に取り組んでいます。私たちが日々の食やくらしのために商品を「選んで」「買う」という行為が、社会をつくっていきます。安さや便利さに惑わされず、商品の背景を理解しながら納得して選び、そして、作り手と食材への感謝の気持ちとともに、無駄なくおいしくいただく。こうしたライフスタイルをパルシステムでは提案しています。

全国の畑を訪ね歩いたことで「生産者さんの心意気も食材から伝わるものだと、だんだんわかるようになった」という、料理研究家の枝元なほみさんに、私たちの日々のくらしのなかでの「選択」と、社会や政治とのつながりを話していただきました。

「カ行」から「ハ行」へ

「毎日、新聞を読んで『キィィ~~~~!』とか『カ~~~~!』とか、頭にくることばかり。『ケッ!』とか『クゥゥウ~~~!』とか、“怒り”の感情の表現は大体“カ行”です。でも“カ行”は胃を収縮させてしまい、収縮した胃で食事をすると胃潰瘍になったり、胃に穴があいたりします」。心配なことばかりが多い最近のニュースですが、心配事や怒りを内に抱え込んでいると、健康を害すると枝元さんは警告します。

一方、笑いを中心とした“ハ行”、「はっはっはっ~~」「ふふふ」「いひひ(?)」は、緊張をやわらげ、血のめぐりがよくなり、副交感神経を刺激し自律神経のバランスが整うそうです。また、食べ物を介して、ほかの人とつながることで、自然と笑顔がこぼれ、幸福感を味わえます。

ほんわかユーモアがありながら熱のこもった話をされる枝元さん

枝元さんが人との“つながり”をあらためて意識したのは、東日本大震災時の支援活動のとき。被災した人たちとともにクッキーをつくるときに“生きていてくれてよかった”“一緒にやっていこうね”と温かい空気にふれることができ、小学生の男の子たちが必ずつくる“うんちクッキー”につられて、おとなたちも笑顔になってしまったとのことでした。こうした人との“つながり”が枝元さんのパワーの源であるといいます。

「今日も、みなさんとお会いできて本当によかった! 私の話を聞きに来てくれるなんて、みなさまは神様です!」ほんわかあたたかい、枝元さんの愛情あふれる話に参加者はだんだんと引き込まれていきました。

ざく切り白菜は便利な保存食♪

料理研究家の枝元さんの講演、ただのパワーポイントをつかった通常の講演のはずはありません。演台の上にはパソコンではなく、いつのまにか“まな板”が乗っていました。そして、サッと手品のように取り出したのは“白菜”。

白菜をざく切りにしてポリ袋に入れ、塩を加えてふってなじませたら、あとは数日放置しておくだけ。作ってすぐはサラダのようなフレッシュな浅漬けができ、2~3日経つと塩がなじんで漬物の状態(中漬け)、5日ほどで発酵して酸味が出て、古漬けの状態になります。保存食としてこの季節おすすめです。さらに白菜漬けの水分は、食物繊維がたっぷり! だしや調味料にも使えます(白菜を使ったレシピに関しては、ぜひ枝元さんのホームページや枝元さんのレシピ本で探してみてください)。

「白菜のざくざく漬け」を実演

「高価なサプリメントでなくても手軽に栄養を摂取でき、良質な“だし”をとることもできる。私たちはさまざまな食材の力によって支えられている」と教えていただきました。

日本の伝統食といえる“かつお節”もそんな自然の力が作り出した奇跡です。かつお節の発酵はカビによって行われます。かつお節にカビを吹き付けると、カビが均等に水分を抜いていき、発酵をすすめます。その後、ていねいにカビを払い落とし、再度カビを吹き付けるという行程を何度か行います。
“ほんもの”の食材には、さまざまな“生命”の力と、つくってくれる人の“想い”が込められています。

「私たちには日に三度、社会を変えるチャンスがある」

「“3パック100円”の納豆がスーパーで売られているとしたら、納豆そのものの価格よりも外側の容器の方が高いんですよ~」。安いと思って買ってみたら、じつはお金を出して燃えないごみを買っている現実があると枝元さんは注意を促します。テレビをつけると、“安い”“便利”といった言葉ばかりが喧伝され、“ほんもの”の食文化がどんどん廃れていってしまうと危機感をつのらせます。さらに最近の枝元さんの怒りの矛先はTPPをはじめとした多国間の貿易協定。「ただでさえ低い日本の食糧自給率が、こうした協定によって10%程度まで落ち込んでしまいます。食は生きていく上での基本であり、ここをおろそかにしては、いくらオスプレイがあっても国は守れません」

表現力豊かな話に引き込まれます

枝元さんはTPPをギャンブルにたとえます。宝くじでは当選金とほぼ同額が収益金に充てられます。つまり胴元が儲かり宝くじを買う庶民は購入金額の半分を取り上げられるという仕組みです。TPPも同じで、庶民には利益が残らずに誰か限られた人だけが得する仕組みではないかと危惧します。

しかし、どういう社会をつくっていくのかということは、本来、政治家ではなく主権のある私たちが決めることだと枝元さんは言います。「私たちこそ、くらしの専門家。何が必要かは私たち自身がわかっているはず。政治家は選挙によって選ばれますが、その選挙がなかなかやってこない(アメリカの大統領選は4年後です)。でも選挙でなくても、日々の食に必要なものを“選んでいる”私たちには社会を変える力があります」

「フード・インク」(3月30日に茅ヶ崎で上映会を開催予定)という映画を枝元さんがみたときに、エンドロールに「私たちには日に三度、社会を変えるチャンスがある」という言葉に勇気づけられたと言います。「私たちが毎日作っている料理にどの食材を選ぶかで、社会が変えられる。自分が政治や社会とは無縁だと感じていても、じつは“台所の窓は社会と繋がっている”ということを意識してほしい」と枝元さんは語りかけました。

◆参加者のアンケートより

  • いつの間にか、“楽で、安くて”になってしまう。自分の食を見直そうと改めて思いました。
  • 食べることが社会を変えることにつながっていくことに、確信をもった。
  • 毎日たべているものを大切に選ぶことの大事さ、目先の損得にまどわされないように、アンテナを張ることの大切さを感じました。
  • TPPとギャンブルのたとえ、わかりやすかったです。グローバル企業が損しない仕組みなのだということ。
  • 「私たちは日に三度、社会を変えるチャンスがある」という言葉を忘れないようにしたいです。

講演終了後はロビーで「白だし」の試飲や書籍の販売が行われました

   

【関連リンク】
・パルシステムのお買い物&コミュニティ「ほんもの実感!くらしづくりアクション」
http://www.pal-system.co.jp/about/honmono/
・一般社団法人 チームむかご http://mukago.jp/edamoto/
(枝元さんが生産者と消費者を結び、多くの人に農の現場に関心を持ってもらうため結成)