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2016/11/18
イベントレポート

今年も「被災地スタディツアー(南三陸)」を開催しました

今年度も被災地スタディツアー(南三陸)を2回開催し、11月5日~6日、11月12日~13日、それぞれ6家族10名、3家族6名が南三陸町、石巻市を訪問しました。

東日本大震災から5年半が経過、当時の津波被害の爪痕をうかがい知る場所が少なくなり、被災地の実情が報道される機会も減ってきていますが、現地には仮設住宅に住まわれている方や、家や家族を失い、精神的な悩みを抱える方がいらっしゃいます。

東日本大震災を風化させず、今後の防災に生かしていくため、現地で見聞きした復興の状況や被災された方のお話を参加者から回りの人に伝えてもらおうと、当組合では2014年から被災地スタディツアー(南三陸)を毎年開催しています。

南三陸町の状況

スタディツアーは、語り部の後藤一磨さんのガイドで旧南三陸町立戸倉中学校からスタートしました。

震災当時、津波に襲われる直前まで地域の方々や学校関係者がグラウンドに避難していたため、犠牲になった方もいました。その日、中学校OBとして来校していた後藤さんから当時の状況をうかがいながら、人間には決してコントロールすることのできない自然の脅威を感じました。

今、南三陸の町は盛り土に囲まれています。町全体を底上げし、海辺にあった集落をまるごと高台に移転しようという計画が進行しています。

語り部の後藤さんから話を聞く参加者

また、町を津波被害から守ろうと、沿岸部では防潮堤設置の工事が急ピッチで進んでいます。しかし「高台に移転したのに何を守るのか」など、町内での意見もさまざまだということです。

仙台市内の被災地を訪問しました

11月6日には生活協同組合あいコ-プみやぎの副理事長・高野恵美子さん、組織室長・豊嶋馨さんの案内で、あいコープみやぎの生産者・農事組合法人クローバーズファームを訪れ、代表理事の細谷慈紀さんから津波被害後、生産を再開するまでのお話をうかがいました。

「私たち農業に従事する人間は、ほとんどが地域の消防団員でもあるのです。あの時はもう、必死に救助活動に取り組みました」と細谷さん。「自分の土地ではあるものの、津波被害の現場となった土地でもう一度農業をする気にはなかなかなれなかった。多くの仲間が離農しました」と話されました。それでもあいコ-プみやぎの組合員からの希望で野菜作りを復活させました。塩害の土地を苦労して改良し、今はトマトや葉物野菜を作っています。「私たち組合員が無理を言って再開していただいたのです。心から感謝しています」と高野さんは話されました。

農事組合法人クローバーズファーム代表理事の細谷滋紀さん

津波被害が甚大であった荒浜地区

その後、荒浜地区を訪れました。この地区は高さ9mもの巨大津波に襲われ、仙台市内でもとくに甚大な被害を受けた地区です。震災前は戸建てが立ち並ぶ住宅街だった場所が現在は荒涼とした草原となり、その先には仙台市の市街地がくっきりと見えます。高野さんは「仙台駅からこんなに近いところでも甚大な被害があったこと、心に痛みを抱えつつもがんばっている人たちがいることを知ってほしい」と話されました。

東日本大震災を伝え続ける取り組み

11月12日~13日のツアーには、3名の小学生が参加しました。12日に訪問し、震災時の状況をお話しいただいたNPO法人夢未来南三陸の小野寺部長から、小学生が被災地の状況を勉強しに来てくれたことへの感謝のしるしとして、3名に感謝状が贈られました。

13日には石巻市の旧大川小学校を訪れました。旧大川小学校は、教訓の伝承や将来の防災教育に活用するため、震災遺構として保存されることが決定しています。参加者は、当時小学校五年生の娘さんを亡くされた語り部の方から、当時の状況や津波が来るまでの判断、そしてたくさんの子どもが亡くなるなか、流れてきた冷蔵庫につかまったり、山に登って助かった子どももいたことなどを話していただきました。

大川小学校でおきたことを聞きました

見たこと学んだことを振り返る時間。子どもたちは真剣に取り組みました

また、一日目の終わりには、子どもたちとワークショップを行い、見聞きしたことをまとめてもらいました。東日本大震災時には幼児だった子どもたちにとって、震災の様子を当時者に聞くのはなかなかないことでもあり、このツアーで東日本大震災や災害について考えてもらうきっかけになりました。

当組合は、東日本大震災の記憶が風化していくことのないよう、伝え続ける取り組みを続けます。今後も被災地を訪問するツアーを開催し、被災地を訪問した組合員が、地域や身の回りの人に現状を伝え、被災地の現状と復興支援の取り組みを伝えるきっかけとしていきます。

11月5日のスタディツアーでは、被災3 県の震災後6 年目の姿を広く伝えることを目的としたドキュメンタリー映画の撮影も行われました。スタディツアーのガイドをお願いした、後藤一磨さんがガイドをする様子の撮影です。この映画は、映画製作会社の(株)平成プロジェクトが作成した復興をテーマとしたドキュメンタリー映画「サンマとカタール 女川につながる人々」(2016年)の第2弾として製作され、被災地それぞれの土地で前を見て懸命に毎日を生きる人々を描いたもので、2018年に公開される予定です。

映画撮影の様子